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「1週間の記念日に」
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「1週間の記念日に」-1

「姉貴とは・・やったことあるんだ」
わたしは耳を疑った。
今日は隣の高校に通う結城くんと付き合い始めた1週間記念日。
そんな大事な日にこんなこと告白する気持ちがわからない。
それに、それに・・あまりにもひどすぎる。
祐樹くんのお姉さんってわたしの通っている女子高で生徒会長をやってい超有名人。
まじめで背が高くてきれいで賢くてみんなの憧れの的。
あのお姉さんの弟だからというのも付き合い始めた理由なのに。
それなのにそれなのに・・・。

すっきりしない気持ちのまま駅までの道を歩いた。
結城くんは黙っている。
「そんなこと平気よ。思い切って話してくれてありがとう」
とでも言えば二人の関係は元通りなんだけど
それはわかるんだけど・・言えないな。
1週間記念日のプレゼント、バッグに入っているけれど、もう渡せないと思う。
これは捨てちゃおう。決めた!
結城くんの喜ぶ顔を思い浮かべながら
「つきあいはじめて1週間記念日。これからもよろしくね」
このセリフを10回も練習したのに、ああ、なにもかもぶち壊し。
わたしの生まれて初めての彼が、実の姉とそんなことするなんて。
「高校生でしょ。そんなことばかりしてないで勉強しなさい」
って言いたいよー。
こんなこと、わたしが可哀想過ぎる。

「1週間前に戻して」
結城くんの顔をまっすぐに見据えて言った。
「そしたら、つきあったりしないから。ねえ、元に戻してよ」
「そんなこと言われても、ゲームじゃないからリセットできないし」
「だって、いやなんだもん。あのまじめな生徒会長のお姉さまと結城くんが、もうやってたなんて。わたしすごくショック受けた。傷ついちゃった。なんとかして」
「って言われても・・」
「黙っていてくれればよかったのに、どうしてそんなこと言い出したの。お姉さんと競わせようとでもしたかったの?」
「いや。隠し事はしたくないなって思ったんで・・」
「こういうことは黙っていてくれた方が嬉しいの!」
わたしは振り返らずに走った。
涙がこぼれた。
そして転んだ。
結城くんは助けてくれない。ああ。もうだめ。おしまい。

だいたいわたしって結城くんのこと本当に好きだったのかな。
有名人の弟で頭がよくって背が高くってそれだけの理由で付き合い始めたのかもしれないな。
おばさんたちがブランドにこだわるように女の子なら誰もが憧れるだろうという理由で彼に決めたんだ。
そこで、結城くんの負の部分を知りショックを受けている。
もう、これでおしまいかな。わたしたち。
いくらなんでも
「姉貴とは・・やったことあるんだ」
はないよね。

楽しみにしていたこの新作ゲーム。
もうお姉さんと対戦してたなんて、許せない。
バックの中からピンクのリボンのついたプレゼントを投げ捨てた。
それを車が避けて走った。

「大丈夫?もう、泣かないで」
結城くんが手を引いて起こしてくれた。
そして、プレゼントを拾ってくれた。
「ごめんね。さ、僕んちでゲームしようよ」


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