第三話 球技大会は楽しい会?-2
「え〜?お前バレー出来んのか?」
すっごく嫌そうな顔をしながら和真が訊く。
「まぁ人並みには出来るって!なにより武藤がいるんだから、負ける訳が無いって!」
「なんだその他力本願・・・。」
無気力状態になり、うなだれる和真。
「じゃあ、あとは補欠も含めて4、5人集めてくるわね。」
と言って、叶花は他のグループへメンバーを探しに行った。
「そういえば時羽さんは何に出るんだろう?」
入学式の日から、時々和真は三輪も含めて時羽と話をするようになっていたが、球技大会の話はしていなかったので、訊いてみる事にした。
「時羽さん、時羽さん。」
椅子に座っている彼女はゆっくりと首をこちらに向ける。
「どうしたの、武藤君?」
「時羽さんはどの球技に出んの?」
「まだ決めていないわ。どれも私には向いてなさそうだし。」
それを聞いて和真は少し嬉しそうに、
「じゃあ一緒にバレーやらない?叶花さんに誘われてさ、三輪もやるって言ってるし時羽さんもどう?」
時羽は少し考えてから、
「じゃあバレーにしようかしら。でも私全然出来ないけど・・・。」
「いいっていいって!じゃあ叶花さんに言ってくるよ!」
和真は時羽と一緒にバレーが出来ると思うと、居ても立ってもいられなかった。
「叶花さん!」
交渉中の叶花の元へ行き、時羽も共にバレーをすることになった事を伝える。
「じゃああと3人程でいいかな。」
「もう誰か捕まえたのか?」
手際の良さに感嘆する。
「うん。中学の時にバレー部だったって人を一人ね。ほら、あの人。」
叶花が指差した先にいるのは串波 梓(くしなみ あずさ)。
長身で活発そうな笑顔、確かに元バレー部員と言われても納得出来る。
「あとのメンバー探すの手伝おうか?」
なんとなく大変そうだったので、和真は申し出てみた。
「ううん、大丈夫。こういうのは得意なの、任せて!」
意気込んで言う叶花。
「お、おう。」
また勧誘に行く叶花。
「叶花さん、えらい気合い入ってんな〜。」
キーンコーンカーンコーン
チャイムが放課後を告げる。
「あっ!時羽さん、一緒に帰らない?」
もう帰ろうとしている時羽をなんとか捕まえた和真。