刃に心《第−2話・仁義なき恋愛〜前編》-1
「祝!第2回目の番外編♪やりましたね、シイタケ先輩」
「作者が少ない脳をフル稼働させて、何とかアイデアを絞り出したからな」
ええ、かなり必死でしたね。アイデアが浮かばないぃ〜、小説の神よぉ〜、と危ない台詞で嘆いていましたから。
「まあ、そんなことはどーでもいいですけどね。さくさくと進めて行きましょう。では、今回もお馴染み、タイトルコールから♪刃に心」
「お馴染みって、まだ2回目だろ…第−2話」
「「仁義なき恋愛」」
第2回目、今回も前後編でいきます。
《第−2話・仁義なき恋愛〜前編》
◆◇◆◇◆◇◆◇
「第2回のゲストはこの人」
「功刀組組長の孫娘、功刀千代子先輩でぇす!」
「な、何だぁ!?」
千代子が茶色の髪をはためかせ、その鋭い目付きで辺りをキョロキョロと見回す。
前回の楓と一緒の反応ですね。
「此所は一体…」
「いらっしゃいませ〜♪」
「番外編です」
「はぁ?」
「まあ、先輩と兄貴の出会いを見ましょうってことですよ♪」
「疾風とアタシの出会いかぁ…♪」
目尻が垂れ下がる。表情はうっとりと、口許にはだらしのない笑みが浮かぶ。
「もしも〜し?」
霞がピラピラと千代子の顔の前で手を振る。
「はっ!」
「完全に自分の世界に浸ってましたよね?」
「だってぇ、あの時のことは忘れられないんだもん♪」
「うわぁ…乙女モード全開…」
「…不良が『〜だもん♪』を使っていいんですか?」
「う、うるせぇな!だったら、テメェはどうなんだよ!?佐々との出会いを思い出してニヤけないのかよ!」
「そ、それは……とにかく!VTRスタート!」
「誤魔化すなあ!」
───ガッシャン。
◆◇◆◇◆◇◆◇
この日、疾風はコンビニに来ていた。
「何にしようかな…」
小さく呟きながら商品が並べられた棚を見て回る。パンコーナーまで来た時、疾風の足が止まった。視線の先にはカレーパン。
「これにするか」
カレーパンを手に取る。そして辛さを中和する為にパックの牛乳と板チョコも購入する。
レジを通り、コンビニを後にする。背後から「ありがとうございました〜」という声が掛かる。
疾風は早速店先でパンの包みを開いた。家に帰る前だが、すでに胃が警報を発している。
疾風はカレーパンに齧り付いた。カレーパンは瞬く間に消えてゆく。
(ごちそうさまでした)
心の中で言うと、今度はパックの牛乳を飲み始める。これもすぐに無くなった。
「さてと…」
ゴミをコンビニに備え付けられているゴミ箱へ。
ちゃんと分別も忘れない。
(チョコは帰ってから食べよう)
疾風は板チョコをポケットに入れると歩き出した。
しばらくすると疾風はあることに気がついた。
約10メートル後方から一台の車が追って来ている。そこから放たれている視線は長年の勘から良くない感じを受けていた。
疾風は後ろを振り返らず、人気の無い路地に入っていった。