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あの頃のふたり
【ノンフィクション その他小説】

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あの頃のふたり-1

私の名前はアリサ。
今日から中学三年生。
その入学式の日、私は恋をした。
相手は新入生のタカヒロ。
タカヒロは一年生なのに一人だけ大人びていて、私は一目惚れしてしまったのだ。

私はどうしても仲良くなりたかった。私が中学生でいられるのもあと一年。付き合ったとしても、長くは続けられない。そう思って私はタカヒロに告白することさえ最初からあきらめていた。
そんなとき噂が私の耳に流れ込んだ。それは、タカヒロのことを好きな人が私の他にもいる、ということだった。私はどうすることもできなかった。タカヒロの彼女じゃないから、その人に「諦めろ」なんて言う権利もなかった。

私はタカヒロと二人きりで話しがしたかった。そしてちゃんと「好き」と伝えたかった。そういう気持ちに変わっていった。

「タカヒロのことが好き」素直な気持ちをタカヒロにぶつけた。でも付き合うことは望まなかった。だってあと半年もすれば私は卒業してしまうんだもの。

「アリサ。あんたタカヒロをその気にさせといて、付き合わないの!?」友達から言われて、はっと気がついた。私は望んでいたんだ。ずっとタカヒロのそばにいたい。タカヒロを誰のものにもしたくない。彼女になりたい。

私はもう一度告白した。答えは。


「うん」


私は本当にうれしかった。タカヒロの彼女になれたんだ。タカヒロは私だけのものなんだ。私は卒業のことなんて忘れるくらいはしゃいでいた。

それから私とタカヒロはいろんなことを話した。手を繋いだり、キスをしたりもした。私はこんな日々が一生続けばいいと思った。

しかし卒業はあっという間にやってきた。別れなければならない。そんなこと話さなくてもお互いわかっていただろう。

そしてタカヒロの口から出た言葉。「別れよう」

わかってる。別れることになるってこと、付き合う前からわかってたこと。なのに涙が出そうになった。

その時タカヒロが言った。「目、つぶって」私は涙が目からこぼれないように静かに目を閉じると、タカヒロが優しくキスをしてくれた。

私はタカヒロと付き合えたこと、本当によかったと心の底から思った。別れたとしても一生忘れないだろうと。


私が21歳になった今。タカヒロは何をしているのだろう。新しい彼女はできたのかな。それでもかまわない。

あの頃の時間は二人だけの時間だから。


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