長いキスを君と-1
失恋した。
悲しくて、泣いて泣いて泣きまくった。
期待してたんだろう。
「オレも好きだよ。」と言ってくれるかもって。
そんなこと、あるわけないのに。
「はぁぁぁ……」
あたしは第二図書室の椅子にもたれかかってため息をついた。
第二図書室は教室のある建物から離れた別棟の二階にある。
読み物やマンガがあるのは教室がある建物にあるので、第二図書室は資料とかが置いてある。
あまり使わない資料が多く、ほこりっぽいので人は滅多に来ない。
授業を受ける気にもなれない。だから、生まれて初めてサボってしまった。
教室に行きたくない。だって、隣にコクった相手がいるんだもん。
湯川 大貴(ゆかわ だいき)。クラスで一番モテる、イケ面。決して顔だけで好きになったんではない。同じ委員会になって、優しい所とか、頭良い所とかを知って、好きになっていった。
「何であの人を好きになっちゃったんだろう。」
「誰を好きなの?」
気付くと後ろに幼なじみの中村 拓海(なかむら たくみ)が立っていた。
「拓海?あれっ、授業中じゃないの?」
「もう昼休み。」
「うそっ!」
「で、誰?まさか失恋でもしたか。」
「………っ。」
また泣きそうになってうつむいてしまう。
「図星なのね…。」
そっと拓海の腕で寄せられ、いつのまにか拓海に抱き締められていた。背中をぽんぽんとしてくれる。
「ほら、泣け。」
その言葉が合図かのように、もう涙が枯れるほど泣いたはずなのに、一気に涙が溢れてきた。
「……ふっ、うぅ…ふえぇーん……わーん…うぐっ……」
拓海はあたしの顔を覗き込んで涙を拭った。
「ごめん…。」
「何で謝んの?いーよ、謝んなくて。大丈夫か?」
拓海が優しくて、安心して、涙が出た。
「湯川か?」
うん、と頷く。
「フラれた?」
うん、とまた頷く。
「オレにしない?」
へ?
「オレなら梓のこと幸せにするよ?ってなんかプロポーズみたいだけど。」
「罰ゲームで言ってる?からかってるの?」
そうとしか思えなかった。