長いキスを君と-2
「ゲームとかじゃなくて、本気。」
「………。」
「すぐに決めなくても良いけど、ちゃんと気持ち教えて。」
大変なことになった。
拓海のコトは好きだけど、そういう感じじゃなかった。付き合うとかじゃなくて、友達みたいな。幼馴染みみたいな。
いや、実際幼馴染み。赤ちゃんの頃から一緒。親同士が仲良しで、住んでいるところが近くて。あたしたちも仲良しだった。
「どうしよう。」
その日は教室に行けないまま終わってしまった。
朝がくると、昨日泣きすぎて目蓋が重かった。なかなか開かない目蓋は腫れていて、不細工。どうしようもなくて、応急処置をしてから、また図書室に行った。
ここにいるのを知っているのは親友の藤ちゃんと拓海だけだった。
「帰ろう。」
ここにいたって仕方がない。
あたしは立ち上がって、学校をあとにした。家の近くで、男の人に呼ばれた。その時のあたしは思考回路がぶっ飛んでいたんだろう。
気が付くと、公園にいた。
「え?」
その時、しまった、と思った。あたしの腕は一人の男に押さえられ、もう一人の男が不気味に笑った。もがいても、力が強くて勝てない。
「連れていくか!」
「待て。」
「おゃ、一人?」
「拓海…。」
「梓のこと放してくれる?」
「無理。」
「放せって言ってんだろ。」
嫌な音がして、あたしを押さえていた男が倒れた。
「ちっ……。」
男は舌打ちをしてもう一人の男を連れて帰った。
「梓……」
「拓海……っ。」
あたしは拓海に抱きついた。
「怖かったよぉ…!」
「もう大丈夫だから、オレが居るから。」
拓海の言葉に、すごく安心した。そして、自分の気持ちにも気が付いた。伝えなきゃ、今すぐに。