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夢の雫
【ファンタジー 恋愛小説】

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夢の雫2-4

「認めたってことかしら?」
「まあそういうことだ。ここに来る前お前の言ってるソレらしき人物に会ったからな。お前の話もあながち嘘ではないんだろ」
「あながち?全部ホントよ」
まだ完全に認めていない重田に対してほのかは口を尖らせる。
「剛、ソレらしき人物ってのは僕を襲った…」
「そうアイツだ。裕介も何となくわかっただろ、普通ではないって」
「でも、なんかの格闘技とかじゃないの?」
「馬鹿、三船十段だってんな技できねぇよ!」
重田は声を荒げて言った。
正確に言えば出来て欲しくなかった。
重田は自分の力にかなりの自信があった、どんなやつでも倒せるまでとは言わないが武器さえ持っていれば、ほとんどの人間は倒せるつもりだった。
もし倒せなくてもあんな負け方になるはずはなかった。
少なくとも親友を守ってやるだけの力があると自負していた。
それが、この様だ。
だから言い訳が欲しかった。
自分のプライドを守るための言い訳。
人一人を守ることもできない自分への言い訳。
相手は神懸りだから。その一言で片付けたかった。
だから負けた、仕方がないと自分を慰めてやりたかった。
「ってことで、今日からあたしはここに泊まることになったから」
少し重くなった空気を解消すべく、勤めて明るくほのかは言った。
無神経そうに見えても意外に空気を読むことができるらしい。
「は?」
いやもはや何も言うまい。
無力な自分一人じゃ神山を守ることはできないのだから。
そんな半人前な自分が決めるようなことじゃない。
「待ってよ。そんな三人も泊まれないよ」
神山はほのかの提案に対し、抗議をする。
「なんとかなるわよ、むしろせっかくの一人部屋よ?友達呼ばないで何するのよ」
「いやそもそも君とは友達じゃないし…」
「じゃガールフレンド」
「意味同じでしょ」
はあ、と本日何度もかの溜息をつく。
そしてすがるような目で神山は重田を見た。
「好きにしろよ、裕介。これはお前の問題だ」
はあ、さらに溜息。
何だか今日の重田は酷く自己主張が少ない気がする。
「でも君女の子でしょ?」
「そうよ。見てわかんない?」
「君はいいの?こんな今が盛りの男二人の部屋に一緒で」
言いながら神山は重田を指差す。
「特に剛なんか、みんな母親の違う子供をもう三人も作ってるんだよ」
「なっ!!」
さすがにこれには重田は反応した。
その姿を見て神山もそっと肩を撫で下ろす。
「待て待て!そんなわれあるはずがないだろ。やめろ!そんな目で見るな」
バッタの足をもぎ取る子供を見るような目でほのかは重田を見ている。
その目が重田には恐ろしかった。
どうすれば、誤解が解けるだろう…
「しかも思春期の男女3人、何が起こるかわからないよ?」
脅すような笑顔で神山はほのかに迫っていく。
もちろん本当に夜這いをしかけるつもりもないし、そんな度胸もない。
「…結界張っとくわ」
そう言ってほのかはベッドの支柱四本に順々に札を貼っていく。
札は無地の薄い紙で、見たこともない象形文字が描かれている。
そして目を瞑り、一言二言呟くとそのままベッドに入っていった。
巫女の服のまま。
「あれ僕のベッドだったのに」
神山はうなだれ、仕方なしと壁へ身を預けた。
重田も呆れながらもその光景を見ていたが、我慢できなくなったのかベッドへと近づいていった。
「お、さすが三児の父は違うねぇ〜」
「頼むからその冗談やめてくれ」
重田はベッドの前で立ち止まる。
そしてベッドの上のほのかへと手を

バリンッ!!

「あだあっ!」
強い静電気のような痛みが重田の指先を襲った。


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