刃に心《第20話・戦、終わりて…》-6
◆◇◆◇◆◇◆◇
時間もそろそろ差し迫って来た頃、希早紀がおもむろにマイクを持って前に出た。
『はい、ちゅーもーく!!』
喧騒が潮が引くように小さくなっていく。
『えぇっと、みんなに聞いてほしいことがあるの!』
希早紀はぐるりとクラスメイト達を見遣る。
『体育祭の賞金、まだ結構残ってるよね?このままパーッと使うのも良いけど、私に残りの使い道について一つ提案があって、二ヵ月後の文化祭のクラス企画の運営資金にするっていうのはどうかな?』
静かになった部屋にヒソヒソ声が生まれる。
『そしたら、何か豪華な企画もできると思うんだよね!だから…』
「賛成だ」
武義が手を上げる。
「俺はこのまま飲み食いするよりはかなり有意義だと思う。みんなはどう思う?正直な感想を聞きたい」
『しぃ君♪』
武義の言葉に希早紀が思わず嬉しそうな声を上げる。
「賛成その2」
「賛成その3」
「もちろん、賛成!」
次々に賛成の声が上がる。
「確かに、学校側からの運営資金だけじゃ大きな事はできないな」
「うん、来年は受験だから文化祭で盛り上がれるのは今年が最後になるからね」
疾風は黙ってその様子を見ていた。口には出さないがもちろん賛成派である。
『じゃあ、残りのお金は文化祭運営資金にするってことでいい?』
「「いいともー!」」
クラスメイトの声が重なり合い大きくなる。
文化祭もこの意気込みとと同じくらい大きなものになるといいな。
疾風はコーラを飲みながら思った。
続く…