恋人達の悩み2 〜Double Mother〜-3
「お、お母さんッ!?」
美弥が声を上げた。
「あ〜……彼氏、立派なモノ持ってるわねぇ。これぞ名刀!ってとこかしら」
半分以上美弥から抜いた時にドアを開けられたので、美弥母は龍之介の逸物をじっくり検分してしまったのである。
彼女の母親の目にさらされても縮こまらない逸物に、美弥母は微笑んだ。
「うん、眼福眼福。忘れ物取りに来て、いいモノ見たわ。じゃ、ごゆっくり」
ぱたん、とドアが閉まる。
「あ、そうそう」
美弥母がまた顔を出したので、龍之介は飛び上がった。
「この子あたし譲りでなかなかいい感度と具合してると思うんだけど……実際に抱くと、どう?」
動揺しきっていた龍之介は、思わず素直に答えてしまう。
「めちゃくちゃ敏感だし、抱くと中が熱くて絡み付いて来て、物凄く気持ちいいです」
その言葉に美弥は硬直し、美弥母は満足そうに微笑んだ。
「あたしの目に狂いはなかったわね。あ、孫が出来るの楽しみにしてるわよ〜」
ぱたんっ
龍之介は呆然としながら、食い入るように閉じたドアを見つめる。
まるで美弥母が、また来るのではないかという風に。
「…………今の……」
龍之介のかすれた声で、美弥は硬直を解いた。
「…………………………お母さん?」
「………………うん」
「何て言うか……エネルギッシュな人だね……」
普通娘が彼氏とSEXしている現場を見てしまったら、怒るんじゃないだろうか。
龍之介は、そう思う。
だが美弥母はこの状況を『あら、ごめんなさい』の一言で片付け、『孫が出来るのを楽しみにしてるわよ』というコメントまで残してくれたのだ。
「……うちの母親と正反対だ……」
呟いてから、龍之介は悪寒に襲われる。
九州の方へ赴任している父親に付いていった母親。
あれは、思い出すべきではない。
「龍之介……?」
「あ……」
見上げている美弥の表情があまりにもなまめかしくて……龍之介は、美弥を抱き締めた。
ずちゅ……うっ……
「あぅ……!」
深く肉棒が沈んで来て、美弥は声を上げる。
「とりあえず……今は、続き」
「ん……」
その数日後、今度は美弥が高崎家へ遊びに行った時の事。
『悪夢だあああっ!!』
『いーから早くしろっ!!』
『ぬあああああっ!!』
家の外にまで聞こえる音量で、高崎兄弟が叫んでいた。
「???」
不審に思いながら、美弥は玄関のベルを鳴らす。
ピンポーン……
『来たああああああっっ!!』
『うぎゃあああああっっ!!』
どたどたどたっ!!ばたんっ!!がちゃっ!!
「あ、美弥!!?」
誰がどう見ても冷静とは言えない状態の龍之介が、ドアを開けて顔を出した。
「……………………しまったあああああっっ!!」
龍之介が頭を抱える。
「デートがあああああああああっっっ!!潰れるうううううっっ!!」
「あ、美弥ちゃんか!?」
弟の絶叫を聞いてか、竜彦が顔を出す。
「お、お久しぶりです。あの、一体何が?」
うずくまった龍之介を抱き起こしながら、美弥は竜彦に尋ねた。
竜彦は、苦虫をまとめて十匹くらい噛み潰したような顔をする。
これから何が起こるにせよ、かなり壮絶な表情だ。
「俺達兄弟にとっては悪夢のような人物が、もうすぐここにやって来る」
瞳の奥にたっぷりと恐怖を含ませて、竜彦が説明してくれる。
「???」
訳が分からず、美弥は首をかしげた。
「彼女の名は、高崎巴(たかさき・ともえ)……俺達兄弟の、母親だ」
「………………………………はぁ!?」
たっぷり五秒は沈黙してから、美弥は変な声を出す。
「会ってみれば分かる……色んな意味で、凄いから」
何とか立ち直ったらしい龍之介が、美弥にそう言った。
「竜ちゃん!龍ちゃん!」
その時美弥の背後から聞こえたファンシーな声に、兄弟がびくんっ!!と体を震わせる。