reality ability‐第1話‐天界、大都市center circle‐-4
「緊張感がないわね。」
「‥‥まったくだな。」
「初めて見た時から、わかってました。あんなのが凰輝お父様より強いなんて‥‥」
「僕にはわかりませんけど‥‥」
「‥‥‥」
周りが騒ぐ中、凰輝だけは皇希が出ていった方を無言で見ていた。
「どうしたの?凰輝。」
「いえ。」
「そう。」
‐少し離れた集神城のトイレ‐
「ごほっ!‥はぁはぁ、ヤバいな‥‥」
そこには血を吐いていた皇希がいた。排水口には大量の血が流れていく。
「生身で“禁断詠唱”したせいか。今になってその反動がくるとはな。」
皇希は水道の蛇口を捻り、水で口まわりを洗いトイレを出た。
‐数分後、復旧中の集神城・閲覧の間‐
「う〜ん、どうしようか?」
織音は何かに対して迷っていた。いや、全員が何かを対して迷っているようだ。
「どうしたんだ?」
とそこに皇希が入ってきた。もちろん、皆にはさっきの事を悟られまいと思っているのか、平然と装っていた。
「皇。あのね、皇が集めようとしている“記憶の欠片”が、各地方にバラバラになってるらしいの。」
「‥‥それが?」
「で、各地方には、四天王が一人づつ配置されているの。‥‥どうするの?」
「‥‥簡単だ。俺らもバラバラになればいいだけだ。」
「で、でも‥‥」
「なんだ?一人で四天王に勝てないのか?」
「そ、そんなことないわよ!」
「はいはい。さて、各地方のメンバーだが、えっとホワイトタウン?だっけ?」
「‥‥皇、地名覚えてないのね。」
「すまない。興味がないのでな。」
「‥‥まぁ、いいわ。で、ホワイトタウンは?」
「誠慈さんと光先輩の二人でだ。」
「わかったわ。そろそろ、先輩は止めてほしいわね。」
「わかりました。‥‥光さんで。」
「それでいいわ。」
「‥‥おい!お前の指図は受けたくないな。」
「誠慈、まだそんなこと言っているのか。」
「なんだよ、親父?」
「行け!」
凰輝は凄い威圧感で誠慈を圧倒させた。
「ちっ!わかった、わかったよ!」
『‥‥‥』
「‥‥ホーリーフォレストは?」
「織音に行ってもらう。」
「わかったわ。次にウィンドグラスランドは?」
「凰輝さんでお願いします。」
「ああ、任せておけ。」
「となると、最後のデスケイブは皇?」
「ああ。」
「わかったわ。」
「では、今日のところはお休みください。」
「そうね、そうしましょう。」
「では、部屋に案内しますね。」
その後、話は少し続いたがある程度纏まって落ち着いた。結果、この日は休憩する為、就寝する事にした。
その時、皇希の部屋に織音が入ろうとしたが、凰輝と螺樹の妨害によって防がれた。