『THE ENDLESS』外伝〜光羽編荒の章-1
最近敵が優位に立ってきた。ギルドシティの西側は常に敵の攻撃に曝され、他のエリアも徐々に奪われていった。
……だが、俺は力を得た。西軍でも名の知れたプレイヤーとなった。この力でこの劣勢状態を覆す。俺は強くなった。俺がやらねばならない。俺が……
「光羽?今日は何処に行くんだ?」
「…中央局周辺の賊の殲滅」
「えっヤバいっスよそれ…敵陣の真っ只中じゃないっスか!」
「光羽、お前が言うなら私は従う」
「颯葉さん…」
「決まったな。各自、戦闘の準備」
「そんなぁ…」
まずは力を試す。俺は念の為、幾つかのとっておきのアイテムを用意した。
「マスター、顔恐いですよ…?」
無視する。多分ミリアは俺の中の期待と驕り、そして恐怖を見透かしたのだろう。自分で分かっている分痛い言葉だった。
「行くぞ」
ギルドシティ中央は南北に比べ攻撃が緩い。中央局ぎりぎりまで西の領域が残っている。
「中央局は目前。一歩踏み出せば東の領域。心の準備はできたか?」
全員が無言。
敵が一人道を歩いている。俺は光弾を作り、そいつに向けて放つ。光弾は真直ぐ飛んで行き、そいつが気付いた瞬間にぶつかり爆発した。爆発に驚いた他の敵達が集まる。
「マスター?」
「瞬間装備変更…倭人兵装」
俺は最近使える様になった瞬間装備変更を使い、前へと歩き出した。
「畜生!西の奴等だ!」
俺は飛んで来る魔法を躱し、青銅剣を出し魔術師風の男に斬りつけた。血飛沫をあげ男が倒れ、そのまま消えていく。
「続け!」
俺の指示に颯葉が風の様に飛び出し、瞬く間に敵を三人斬り伏せた。他も後に続く。
「瞬間装備変更…」
そこで俺は元の姿に戻り、屋根の上でこっちを狙っている奴等を光弾で撃つ事にした。既に俺達の周囲は多数敵に囲まれている。これでは下手に動けない。
「鋭刃…」
俺の合図で鋭刃が覚醒し突進する。
「今だ、攻勢をかけろ!」
敵の注意は鋭刃達にいったが、その中で一人、俺に向かって進んで来る女がいた。その手には薙刀が握られ、装備もいかにもな物を着ている。
俺は光弾での攻撃を試みたが全ての光弾が届く前に消え去り、全く効果が無い様だった。