『THE ENDLESS』外伝〜光羽編荒の章-2
「覚悟っ!」
女の薙刀が脚を払いに来る。あまりの速さに避け切れず、少し擦った。見たところかなり高ランクの武器の様だ。
これはまずい。鋭利な刃物を防ぐ防御魔法は脚までは届かないのだ。
「チッ…瞬間装備変更!」
忽ち俺の脚が鉄の防具で被われる。
「きぇい!」
「!!」
女は全くたじろぐ事無く俺の首筋を狙って薙刀を振るった。咄嗟に防御はしたが、間に合わず少し血が流れる。
「まだまだぁっ!」
また少し斬られる。間髪を入れぬ攻撃で、間合いを詰める事すらできない。
そのまま徐々に俺の体力・魔力が削られていく。
(…どうする?魔法が効かない防御もできない、俺の剣技など相手にならない。全身を鎧に包んだところでこいつには通用しないだろう…)
ザシュッ…
「うああぁっ!」
考える時間も無い…薙刀が脇腹を斬る…態勢が崩れる…
「とどめだ」
「瞬間武器変更っ!」
俺は咄嗟に青銅剣を出し斬撃を防いだ。短く響く金属音。
「!」
相手は僅かに驚きの色を見せるが、すぐに強烈な一撃を加えてきた。
「う…」
何とかそれを剣で受け、その力を利用し転がり立ち上がる。
ドッドッドッドッ…
心臓が暴れている。血が流れる。肩で息をしてしまう。
「はっ!」
キィン!
「!…」
剣が手から離れる。次の斬撃が来る。間に合わ―
なかった。体の全面、斜めに深く斬りつけられた。力が抜け膝が折れる。
あまりの痛みに声も出ないのに、何故か頭は冷静に働いている。その冷静に働いている頭で俺は死…俺にとっては本当の死を受け入れる準備をしていた。
そう、もう既に無くした命だと思えばいい…このまま仮の人生を送ったところで…?一瞬明るく…?
…何時の間にか空が曇ってきた様だ。雷の音がする。最期の時に相応しいと言えなくも…
「マスター!!」
閃光。轟音。刺激臭。地面が俺に襲いかかる……口の中に血の味が拡がる。