Deriving Story〜決闘〜-2
『碧い瞳の王子様』とは人気少女コミック誌のなかでもダントツトップの人気を誇る少女コミックよ!
はぁ、あいつとは似ても似つかないのになぁ
そもそも目も髪だって黒いのに、顔は・・・まぁ中性的でカッコよくないとは言い切れないけど
はぁ、なんでこの私がこんなに悩まなきゃならないのよ
どうしよっかな・・・
「優希、お風呂はいるわよ」
春・恋・優希・お風呂・・・!!
ガタッ!ダダダ!ガチャッ!
「優希、お姉ちゃんと入ろ!」
「えぇ〜、お姉ちゃん抱きついて来るんだもん」
「良いじゃん、ほら行こ!」
ふぅ、優希とお風呂入ったらすっきりしたわ!
そうよこんなの私らしくないわ!
決着つけなきゃ!
そう!決闘よ!!
私は翌日の放課後、あいつを呼びだした
ここなら誰にも邪魔されない、私は制服を着て仁王立ちであいつが来るのをまった
・・・来た!!
奴は私のちょうど十歩手前の位置で立ち止まった
「どうしたの、果し状なんて?」
「どうしたもこうしたも、あんたを見極めるためよ」
「見極める?」
そう、私は自分より弱い男はありえない、かと言っていくら強くても女の子に手を上げるような男はカスよ!
私はスッと目を細め奴を睨む
その瞬間二人の間を一陣の風が通り抜けていった
「行くわよ!」
と私は体中から気合を発し、その闘気を四肢に集中させる
「ハッ!」
という掛け声と共に私は目の前の男目掛けて走り出した
そして右こぶしを顔面目掛けて振りぬいた
だがヒュッという風を切り裂く音がしただけで当りはしなかった
奴は左手側に避けていた
私はとっさに右足を踏ん張り体の動きを止め流れるように左足に重心を乗せ右のハイキックを放った
しかしそれを奴は軽々と左手で受け止めた
私は慌てずに掴まれている右足を軸に体を捻り左足も奴の顔目掛けて蹴りこむ
だがこの蹴りも奴に受け止められた
しかし私はこれを読んでいた
私は状態をグッと逸らすと両手を地面につけ腰を回転させ、奴の手から無理やり足を放させると
体全体を縮め、体が伸び出す力を利用して顎を蹴りぬいた
だがこれも奴は上体を逸らすことで避けてしまった
しかしこれは読み切れず反応が遅れたため、頬にかすったようだ
私が起き上がり奴を見たとき親指の腹で頬についた血を拭っていた
「なんでこんなことすんだ?」
なんでだと?
そんなこと決まって・・・ハッ!!
しまった、気付いてしまった
これはラブコメディではないか!
ラブコメディ、通称ラブコメ!
ラブコメとは、か弱くうら若き乙女と、かっこよくクールな王子様とのラブロマンス!
なぜ、か弱くうら若い乙女である私がこんな白熱の戦いを演じているんだ!?
あぁ、なぜこんなことに・・・そうだ!
「ねぇ、私のこと好き?」
「え?あ、うん」
よし
「じゃぁ、付き合おう」
「え?」
「なにイヤなの?」
「あ、そんなことないよ」
これで役者は揃ったわね
「じゃぁね」
と私は振り返り帰ろうとした
「あ、待って」
「ん、なに?」
「一つ聞いていい?」
「なに?」
「琴美ちゃんって、ツンデレ?」
「積んでる?・・・なにを?」
決闘・fin