幽霊と一緒〜受難編〜-7
「なあ、用事って何だ?」
しびれを切らした僕は言う。
「何でもないなら帰っていいかな?」
「ありがとう」
聞こえるかどうかのような小さな声で黒川は言った。
「あなたたちの協力のおかげ」
黒川は軽く会釈した。
「ど、どういたしまして」
僕も頭を下げる。
「それが言いたかっただけ。じゃあ、さようなら」
開いていた窓から風が吹き込み、僕は目を瞑った。
そして目を開けると黒川の姿はなく、パイプ椅子が畳んで壁に掛けてあった。
目の前の出来事が信じられず、とりあえず窓をしめることにした。すると再び風が吹き込んだ。窓のそばに立っていた僕はカーテンを顔に浴び、払い除けた。
「……あれ?」
消えたはずの黒川が立っていた。
「何してんの?」
僕は聞いた。
黒川は窓を閉め、
「窓、閉め忘れたから戻ってきた」
淡々と答えた。
僕はそんな几帳面少女に向かって、
「今度、ここの掃除でもするか? 疾風たちも呼んで」
「……」
最初は僕をジッと見つめていた黒川は黙ったままコクりと頷いた。