屋上の死神-2
「やっぱり、だめ」
「えっ?」
消えた筈の目の前の全てが、彼女の声に目を覚ましたかの様に蘇っていく。
先程の様な恐怖は感じない。
いや、寧ろ心地良さすら感じる。
「助かった……のか?」
辺りを見回す。
何事も無かったように静まり返った屋上。
ただ、そこには僕だけしか居ない。
僕僕だけしか……
「なんだよ、これ……」
呟きながら空を見上げる。
空には幾千もの黒い羽根が、死に絶えた雪の様に静かに舞っていた。
終