シンデレ・・ラ?-2
〜舞踏会当日〜
「まさか生きてる間にドレス姿になるとはな。」
「似合ってるぞ、憲一。」
「黙れ。」
「じゃあ行ってくるわ。」
「留守番しとくのよ。」
「あの、また後で。」
「八重ちゃん、一応設定上、御義母様は私が家でずっと留守番してると思ってるってことになってるから。」
「あ、ごめんなさい。」
「じゃあ、行ってらっしゃいませ。」
「はぁ、私も舞踏会に行きたいわ。」
「お嬢さん、何かお困り?」
「…妖精の服が可愛いよ、貴人君。」
「うるさい!!俺だってこんな役嫌だったんだよ。でもやらないと姉ちゃんと二日間留守番させるって言われたから。」
「…お互い苦労するな。」
「早くこんな服脱ぎたいから進めるよ。えっと、お嬢さん、どうしたの?」
「舞踏会に行きたいんです。」
「なら行けばいいじゃない。」
「着ていく服がなくて。」
「そんなの簡単よ。ビビデバビデブー。」
「ぷっ。」
「笑うなーー!!」
「ごめん、貴人君。」
でも笑っちゃうって。
「ほら、服と靴。」
「ありがとう、魔法使いさん。でも行く手段がないの。」
「そんなの朝飯前よ。ビビデバビデブー。」
「…何のつもり?」
目の前には一台のママチャリ。
「えっと、台本によると『馬とカボチャの馬車なんぞ用意できるかバーカ』だって。」
「こっからお城までどんくらいだっけ?」
「確か6kmぐらい。」
・・・意味わかんねーよ、ハゲ。
「じゃあ頑張ってね、シンデレラ。あと魔法は12時になったら解けるから注意すること。」
・・・まさかドレス姿でチャリに乗ることになるとはな。
「や、やっと着いた。」
疲れた。なにが疲れたって周りの人の視線が痛い。そらドレスでチャリ爆走してたら目立つわな。
「えっと、どこに行けばいいのかな・・・ん?」
「お嬢さん、ぜひ一曲踊ってもらえませんか?」
「いえ、結構です。」
「では、向こうでワインなどぐはぁ!!」
「何してやがるクソ親父。」
「数、いやシンデレラ。」
「いいよ、数馬で。質問に答えやがれ。」
「母さんが居ない今がチャンスなんだよ。」
「母さんならいるぞ。」
「なに!?どこだ?」
「お父さん。」
「ひっ、か、母さん。」
「ずいぶん楽しそうね。」
「い、いや、そんなことは。」
「ちょっと向こうに行きましょうか。」
「い、嫌だーー!!」
「往生しな、親父。」
『やっべ、これマジうめえ。』
『お前少しは遠慮しろよ。一応俺ら衛兵なんだから。』
『いやこれマジでうまいんだって。お前も食ってみろって。』
『よう。』
『おう、宮本。』
『お前なんの役なんだ?』
『王様。』
『王様が衛兵とダベってたらさすがにまずいだろ。』
『てか仕事しろよ。』
『もう終わったんだよ。セリフなんか「宴を始めよ」で終わりで後は座ってるだけなんだから。退屈でしょうがねーよ。』
『ほれ、お前もこれ食ってみろよ。』
『おっ、うまいな。』
『だろ?』
『ふう。』
『よう、賢治。お前は何の役なんだ?』
『別に。』
『・・・台本貸せ。』
『やだ。』
『ていっ』
『あ、てめえ。』