刃に心《第19話・戦、始まりて…決戦編》-10
『いや〜、非常に初々しい反応ですね♪そこんとこどう思われます校長先生?』
『うむ!異性交遊は不純で無ければ、許しておる!真に善きかな、善きかな♪』
『え〜、ただいま入って参りました情報によりますと、二人は一つ屋根の下で暮らしているそうです。この後は、二人だけの体育祭が寝室で熱く繰り広げられるのでしょうか♪そこんとこどう思われます校長先生?』
───ゴンッ!
『ヒデブッ!?』
楓の放った豪速球が司会のこめかみを撃ち抜く。
『カーカッカッカ!善きかな、善きかな♪』
『えー、司会を変わりまして、これより閉会式に移ります』
◆◇◆◇◆◇◆◇
吹奏楽部の演奏が流れている。閉会式は順調に行われているようだ。
霞はうっすらと目を開けた。見覚えのある風景。どうやら保健室のベッドの上らしい。
「起きました?」
「部長…」
横に視線を向ける。朧が隣りベッドの上で身体を起こしている。
「どうでした?」
「あの兄貴…妹に貫手ですよ?有り得ないでしょ?」
「それにしては嬉しそうですね♪」
「…まあ、久々に兄貴に構ってもらったって感じですかね♪」
「ふふ♪」
二人はにこやかに笑う。
「いるんでしょ?」
霞がそう言うと、保健室に四つの影が降り立った。
「…何用ですか?」
緊張した声色でリーダーが尋ねる。
「これ」
ひらりと封筒を投げ捨てる。リーダーは慌ててそれを受け取った。
「返す」
中には一枚の写真。
「ま、真ですか?」
「帰っていいわよ」
「御意!」
「じ、自由だあ!」
「フリーダム万歳!」
そう口々に叫びながら忍者達は帰ってゆく。
「珍しく寛大ですね。逃がすなんて」
「逃がしたつもりはありませんよ。ネガはありますし、データ化してメモリーカードにも入れてありますから♪」
「それでも普段の霞さんなら、写真すら返さないじゃないですか♪」
「…負けは負けですから」
霞はグランドの方を見た。
『優勝は2年E組だああ!おめでと───♪』
続く…