HAPPY LIFEI-3
〜〜〜〜〜〜〜
背中を見ながら念じた。
(お願いだからこっち向いて)
何を考えているのか、ピクリとも動かない。
「雄大?」
ゆっくりと振り返ったその顔はいつもと同じで、ホッとした。
「おはよう。早いね」
「うん、そっちこそ早いじゃん」
よかった。普通に話せる。
「今日で終わりだね、桜栄祭」
「うん、なんだかんだいってあっという間だよな」
「後夜祭楽しみだね。って言っても私裏方だけど」
「あぁ、お前後夜祭班だっけ」
「うん…」
一瞬その場が静まり返って、ふっと思い出したのはあの時のこと。私のことを好きだって言ってくれたあの時。
雄大はまぁ、何でも話せる人だし。よく一瞬に帰ったりもしたし。気が合うから一緒にいる時間も多かったりするし。よく目が合ったりするし。今思えば当然といえば当然なわけで…。
「明日香?」
「私、スキみたい」
「…は?」
「雄大のことスキみたい」
「みたいって…。ハッキリしようよ。そのへん」
「うん」
「…」
「…」
「で?」
「で…やっぱりスキみたい」
目の前でははっ…と豪快に笑い出す。
「お前さぁ、どうしようもねぇな」
そんなこと言いながら、雄大は私を優しく見つめる。
そう、今気付いた。私、この笑顔がスキなんだ。でも言うのはまた別の日にしよう。