ショートショート 怖い話-2
5.公園にて
児童公園の横を通りかかったとき、声がした。
「もーいーかい」
見ると、男の子が木に顔を埋めている。かくれんぼをしているらしい。
他にはだれもいないが、きっとどこかに隠れているんだろう。
なんとなく足を止めて、その光景に見入った。
誰もなにも言わないまま、男の子は公園のなかを探し始めた。
「もーいいよ」とかは、今は言わないのかな。
ぼんやりとそんなことを考える。
男の子は探し回る。
ベンチの裏…植え込みのなか…すべり台の上…
けれど、見つけられなかったらしい。
ふと、僕と目があった。
そのまま見つめ合う僕と男の子。なぜか僕から目を離そうとしない。
そのうちに、男の子は僕のほうへ走り寄って来て、言った。
「見つけたっ!」
僕ははっと我に返る。
「いやちがうよ。僕はかくれんぼしてるわけじゃ…」
僕は慌てて言ったけれど、男の子は聞いていない。
「見つけたっ!見つけたっ!見つけたっ!」
男の子は僕の腕を掴んだ。
「痛っ!」
凄い力だった。
「ミツケタッ!ミツケタッ!ミツケタッ!」
男の子の顔がみるみる歪んで、笑顔のようになる。
ミツケタッ!ミツケタッ!ミツケタッ!ミツケタッ!ミツケタッ…
6.来訪者
…ピーンポーン…
ガチャ
「はい…」
「オマエモクルカ?」
「は?だれお前?」
「オマエモクルンダ」
「なに言ってんだよ?頭おかしいんじゃ…うわっ!なにすんだっ!」
「コイ」
…バタン…
…ピーンポーン…
ガチャ
「はあい。どなたですか?」
「オマエモクルンダ」
「ソウダ。クルンダ」
「な、なんですか?あなたたち?」
「コイ」
「コイ」
サヤヘカヌ