ある淫魔のライフスタイル〜堕ちた女魔族ヴァネッサ〜-7
「これで邪魔は入らん……」
魔族はフードを脱ぐと指笛を鳴らした。あたりに甲高い音が鳴り響く。それを合図に潜んでいた大量の魔物が姿を現した。
(なっ!?何て数だ!!)
「個人的に恨みはないがヴァネッサ様のためだ……死んでもらうぞ!!」
雄叫びを上げ、魔物たちが一斉にジェイドに襲い掛かった。
ミーティはベッドに寝転がってジェイドが来るのを待っていた。しかしジェイドはまだやって来ない。
「遅いなぁ……私が待たされるのって初めてかも……」
ジェイドを待たせるのはいつものことだが、待たされた記憶はない。
「講義はとっくに終わってるはずなんだけど……もしかして何かあったのかな?」
「その通りよ。」
突然部屋の入り口から女の声が聞こえてきた。
「なっ?!この声は……!」
この不快な声。忘れるはずもない。
「ヴァネッサね!」
ドアの影から黒髪の女魔族、ヴァネッサが姿を現した。
「ようやく現れたわね!返り討ちにしてあげるわ!」
勇ましく叫ぶミーティ。魔力を練り、魔法の詠唱を始める。しかしヴァネッサは余裕の笑みでそれを眺めていた。
「余裕こいてられるのも今のうちよ!覚悟しなさい!」
詠唱が完了し、ヴァネッサに向けて右手をかざす。その手から練り上げられた魔力の塊が放たれる……はずだった。
「……え?」
何も起こらない右手を呆然とミーティが見つめる。
「フフッ……どうしたのかしら?」
「くっ!」
もう一度魔法を放とうとするが結果は同じ。ミーティの手から魔法が放たれることはなかった。
「そんな……何で……?」
「簡単なことよ。この部屋に結界を張らせてもらったの。私以外の魔力は封じられる。」
「なっ?!そんな……」
思わぬ事態に狼狽するミーティにヴァネッサがじりじりと歩み寄っていく。
「こ、来ないで……」
ミーティは後ずさり、徐々に追い詰められていく。いつもの強気な態度は消えてしまっている。
「フフフ……アナタの魔力は大したものだけど、それさえ封じてしまえばただの可愛い女の子……」
とうとう壁際に追い込まれてしまったミーティの首筋にヴァネッサは指を這わせた。