投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

たったひとこと
【コメディ 恋愛小説】

たったひとことの最初へ たったひとこと 31 たったひとこと 33 たったひとことの最後へ

たったひとこと【第5話:恋のライバル・サバイバル】-6

○○○○○○○○○○○○

流々花が静かに口を開く。

「オレさ、家族が極道、つまりヤクザなんだ。で、結婚出来る16になったらウチの女は別の組に嫁ぐシキタリになってる。時代錯誤もいいとこだろ?」

顔は笑っているが、その向こうは恐怖で引きつっている。

「でも16になるまでは自由恋愛。だから恋人を作れるのも明日のオレの誕生日までなんだ」
「・・・」
「・・・最後ぐらいは普通に恋愛したかった。男兄弟の中で育っちまったから男勝りなとこもあるけど、オレも女の子だからな。でも人はすぐに好きになれるもんじゃない。今分かった」

学校に背を向ける。あまりにも小さいその背中。

「成之には迷惑かけたな。悪かった。もう会わない。じゃあな」

本当はナイフからオレの指を離してくれた時、胸がきゅっと締めつけられたんだけどな

あれが初恋、だったのにな

「待てよ!」

流々花の手を取る成之。

「・・・成之?」
「お前はそのことちゃんと親父さんに話したのか?理解してもらおうとしたのか?」
「・・・」
「好きな人がいても、好きだっ、って一言が言えずに家に帰って落ち込む機会さえないなんて・・・淋し過ぎるぞ」

詩乃の心がずきりと痛む。

「だからっ、一回ちゃんと話してみろよ!なあっ!」
「・・・成之」

その様子を地面越しに聞いていた一平は

「・・・待てよ」

砂だらけの顔のまま立ち上がる。

「成之は詩乃ちゃんとくっつくやろ。てことは流々花ちゃんはまだフリ―!?おっしゃあ!ツキが向いてきたでえっ!」

相変わらずの節操のなさで突っ走る一平・・・

ごつん

「いったぁ―――!」
「いい加減、好きな女をコロコロ変えるのは止めろ。だからモテないんだ」

結局、グ―パンチを喰らうのはこの男。

「殴ることないやないか―うわ―ん」
「そこの漫才師がお前の男か?」

校庭に立っているやる気のなさそうな男。
推定伸長190センチ。金髪の長髪が落ちないようにサングラスで留めている。
その雰囲気は遊び人のようでもあるが、不思議な貫禄も兼ねている。


たったひとことの最初へ たったひとこと 31 たったひとこと 33 たったひとことの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前