淋しい嘘
〜私は誰も愛さない〜-7
ようちゃんや過去の思い出も思い出すが、何より夢に出てくろるのはカイラで。
ようちゃんとは最後までしなかったからかな…
ようちゃんに良く似た、填との子ども。
カイラの笑顔しか出て来ない。
カイラと遊んだ公園。
遊んで貰っていたのかな?
私、いつも一人で親に連れてって貰えなかったから、遊び方よく知らなかったのよ。
幼稚園も行かせて貰えなかったの。
お金もなくて、家で、ずっと一人で。
あの子の方が、私より遊びをよく知っている気がする。
私の様な営業用のスマイルじゃなく、いつもニコニコ。
ニコニコした顔が見たくて、私はいつも外へ出かけたっけ。
私は、愛したかどうかは解らない。
けれど、愛されていたのだと思う。
填編
1ヶ月の時間が経過した。
女性は今も眠り続けている。
警察も来たが、身元が判らなかった。
眠れる森の少女に見える。
仮に、七家草子と名付ける。
原因不明の昏睡状態であると診断する。
彼女は、今後も寝ているのだろうか。
起きたいな…
起きたい。
あの子に会いたい。
2ヶ月振りだろうか。
ベッドから起き上がる。
起き上がっただけでクラクラする。フラフラする。
あの子に会いたいから我慢をする。
意を決して、床へと立ち上がる。
「ウッ…」
バタンと大きな音がした。
何も見えない。
私、倒れたの…?
意識が朦朧とする。
誰も来ないね。
誰も…
何も考えられないや。
海良…
填編
彼女の病室から音がし、直ぐに駆けつける。
彼女に呼ばれた気がした。
一刻も早く見に行きたかった。
彼女は床で倒れていた。
意識不明。心拍・呼吸微弱。脈拍触知不可。
急いで彼女を担架に乗せ、治療室へ運んだ。
周りには目もくれずに走った。
…彼女は、助からなかった。
心が、死んでいくのを感じた。
〜終章〜
私は、夢を見ていた。
長い間、夢を見ていた気分だった。
もう、その夢も終わりね。
出来ることなら、今度は誰かの為に生きて、自他共に幸せになりたいと思った。
愛を自覚出来る人間になりたいと思った。
子どもを愛してから作りたかった。
母を支えて生きたかった。
寂しくなんかないよ。幸せだよ。
寂しい思いをさせないよ。
だから…
側に、側にいさせて。
(終)