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淋しい嘘
〜私は誰も愛さない〜
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淋しい嘘
〜私は誰も愛さない〜
-6

わかってるわよ、ワカッテル
私は誰からも愛されてないんでしょ
もし違うんだったら何?
私は誰も愛せないのかな
今まで生きてきて、あなたの存在が大きすぎた
あなたを目標にして生きてきた
あなたを中心に生きてきた
あなたが強すぎて、他に向かうことが出来なかった
何度も悩んだ、何度も迷った、もう一生懸命に
あなたを愛している、今も、過去も、これからもずっと
あきらめさせてって思う
でも、他の人が見ると
私があきらめたくないから
今までずーっとこのままなんだよって言ってる
あたし、だめだなあ、あたし

填編
填は、この美女を見ながら、ふっと急に過去を思い出していた。

まだ医大の研修生で、その日の仕事が終わり帰る途中であった。
ふと見ると、1人で地面に座っている女の姿があった。
こんな時間なのに、女が1人でといった疑問が出る。女は泣いているようだ。私は、どうすればよいのだろう。ひとまず女に名前を聞くことにした。しかし、ふと出てきたのは中国語であった。
「斯馬 填という者です。あなたは、どなたですか?」
「草子、七家草子」
中国語が解るようだ。そのまま中国語で話し続ける。
「草子さん、どうされたんですか?」
傍に寄ると、端正な美しい顔立ちが見えた。
「あれれ、どうしたんだろ。ココどこぉ。どおやって来たんだろ」
酔っているのだろうか・・・それにしては、見ていられなくなる程寂しすぎる表情で。
何かが・・・心が病んでいる様にも見える。
「あなたみたいに若くて美しい人がこんな所にいたら、事件に巻き込まれてしまう。お家にお帰りになった方がいいですよ。送りましょうか」
見たところか弱そうな人をこんな所に寝かせておいてはいけないだろう。なまじ美女だけに、この人が襲われるのではないかと不安になる。
「帰るトコないしぃ」
「でしたら、僕の家に泊まっていきませんか」
無意識に出た即答だった。草子と名乗る女は黙って付いて行った。

星編
ようちゃんと似ている男だった。。。
あたしは、この男と過ちを犯す。

深い深い過ち。
どおでもいい過ち。
そして、カイラが出来てしまう。
冷静に考えると、コイツの子かな。
でも、ようちゃんの子かも知れないし...
そう思いたいのよ、海良。
そうは思えないのよ、界羅。
カイラ...

私は妊娠し、それが誰の子かは解らなかった。確信が持てなかった。誰でもよかった。どうでもよかった。
子どもは生んだ。
妊娠も出産も苦しくなかった。
心の痛みや苦しみと比べると、別に大したことは無かった。
たった半日間の、甘く切ない、命を感じる痛みだった。
顔を見て思った。確信は出来なかった。
母として、頑張る気持ちは持てなかった。
ただ、子どもといると癒された。それと同時に、自分自身が惨めに感じられた。
働きながら、子どもを育てる。子どもは育つ、どこまでも...
たまに息抜きに、どうでもいい男と関係を持つ。
避妊はしたわよ。フフフ。
あの子は根は真面目だから、普通には育ったのかも知れない。
あたしは、母としては育たなかったかな。すくすくと育っていったのは、自己嫌悪で。
母性って、母性愛って何ですか?

愛せない。愛さない。愛されない。愛せないよ...
子どもは好きよ。カイも、好きよ。つまり、ただそれだけの関係。
そこに、愛は無く。
私は、夢を見ていた。

眠りについていた。
ただ、何時もの眠りとは違う。


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