好きというコト-1
親と喧嘩した。期末の成績が、めちゃめちゃ悪かったからや。だから彼氏の翔(しょう)の家に行った。
翔は一人暮らしをしてる。親は転勤で引っ越して、それでも翔は残った。
「咲季(さき)!見て、コレ!!」
「昼間から騒がしいなぁ、どうしたん?」
「期末、赤点三枚しかあれへんかったぁ〜!奇跡、奇跡や!」
「さいですか。」
「えー、咲季、喜んでぇや。」
いま喧嘩したあとで気が滅入る。翔には心配させたくなかったんやけどなぁ。
「翔は幸せやなぁ。良かったなぁ。はぁ。」
ちゅっ
「ため息つくなや。なんかあったん?」
「喧嘩した。」
「誰と!?」
「お母ちゃんとお父ちゃん。成績悪いのを怒られるんはえぇねん。仕方ない。ただ、翔のことただのアホって別れろ言われたんだけはめちゃめちゃ腹立って。・・・うぅ、ふぇ〜ん!」
「大変やったなぁ。」
翔はあたしを抱き締めてくれた。
「成績しか気にせぇへん親やねん。・・・ずっ。で、でも、翔はあたしめっちゃ好きやから・・・。悪く言われて、腹立って、殴ってきた・・・。うぅ。」
翔は黙ってただ抱き締めてくれる。
「オレ、どうしようもないアホやし、夢とかもあんま・・・いや、あるけど。まぁ、咲季の親にそういわれてもしゃあないなぁって思うよ。」
「でも翔はえぇやつやし、優しいやん。」
「ありがと。オレも咲季がめっちゃ好きやから。」
「うん。」
「今度咲季の親あいさつでもしよか。オレ、咲季を一生手放す気ぃないから。」
「あたしも翔から離れる気ないッ!」
「そーか、そーか。」
翔があたしの頭をくしゃくしゃになるまで撫でる。うれしそうに笑うから、あたしも笑った。
「だからっ、咲季は今日中にパパさんとママさんと仲直りしなさい!」
「えぇぇ〜・・・。」
「絶対に愛は勝つって言うやん。大丈夫や。」
「なんやそれー。」
「またデートしよ。仲直りするまでお預けだけど。」
「わかったよ。」
彼の笑った顔が好き。彼の優しいトコも、ちょっと(かなり)アホなトコも、大好き。全てを愛してる。彼が悲しんでたら慰めたいし、彼のうれしいことは一緒に喜びたい。いつだって彼と居たくて、どんなときも彼を信じてる。
好きってそういうこと。