俺と俺様な彼女 〜12〜-2
プルルル、プルルル、がちゃ
「遅い。」
「すいません。」
「まあいいわ。明日なんだけど。」
「はい。」
「映画のチケットもらったのよ。行かない?」
「こりゃまたベタな展開ですね。」
「切るわよ。」
「冗談ですよ。もちろん行きます。」
「そう、じゃあ明日駅に一時ね。」
「わかりました。じゃあまた明日。」
「先輩なんて?」
「ん?いや、映画に行こうって。」
「なんか、ようやく恋人同士って感じだな。」
「そうね。」
「無事に終わるといいんだけどな。」
「そのセリフの時点でまだまだだな。」
「ほっとけ。」
〜翌日〜
「こんにちは、先輩。」
「行きましょうか。」
「はい。ところで何の映画なんですか?」
「これよ。」
「ああ、今結構話題になってますよね。」
「数馬は普段から映画とか見るの?」
「結構見ますよ。」
「へえ。どんなの?」
「ホラー以外は何でもみます。」
「そういえば怖いの苦手だったわよね。」
「先輩は見るんですか?映画とか。」
「あんまり見ないわね。」
「そうですか、ちょっと意外ですね。」
「そう?」
「結構色んなジャンル見てそうなんで。まぁ、勝手な意見ですけど。」
「なんでもいいわ。早く行きましょう。」
「結構良かったですね。」
「まあまあね。」
「とか言ってラストではぼろぼろ泣いてたくせに。」
「あんたの見間違いよ。眼科行きなさい。ついでに頭もみてもらいなさい。」
「・・・そこまで言いますか。」
「どうする?結構中途半端な時間だけど。」
「そうですね〜、帰るにはまだ早いし・・・何かしたいこととかありますか?」
「・・・海に行くわよ。」
「は!?」
「海よ、海。」
「・・・まだ半年ほど早いと思いますが。」
「馬鹿、泳ぎに行くわけじゃないわよ。」
「じゃあ何しに行くんですか?」
「別に。ただ急に見たくなっただけよ。」
「全然意味がわかんないんですけど。」
「馬鹿だからよ。」
・・・いや、絶対違う。それは全力で否定します。
「行くわよ。」
「マジで行くんですか!?」
「当たり前よ。」
「あ、ちょっ、待って〜。」
「着いたわね。」
「寒いです。」
「当たり前よ。冬なんだから。」
「冬の海なんか初めて来ました。」
うん、だれもいねえや。当たり前だけど。
「静かね。」
「生き物らしい生き物つったら俺らぐらいですからね。」
たたまれている海の家がなんとも侘しい。
「そうね。」
「結局何しに来たんですか?」
「さっき言ったでしょ。見たくなったからよ。」
「マロリーじゃないんですから。」
「誰?」
「『そこに山があるから』って言った人です。」
「頭悪いのにそういう無駄知識は豊富なのね。」
なんでこの人は素直に褒めてくれないんだろう。泣くよ、俺。この寒空の下で。・・・絵になるかな?・・・なんねえな。