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刃に心
【コメディ 恋愛小説】

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刃に心《第16話・肝試し度胸試し》-1

さらさら…というよりはざわざわ…、がさがさ…と心をかき乱す音が響き渡る。

「この竹藪、いい感じに恐怖心を煽ってくれてますねぇ♪そう思いません?」

同意を求めるように朧が笑顔を向ける。

「いや…あんまり……」
「思います!ええ、その通りです!はい!!」

静かに否定する疾風に対し、彼方は盲信的に首を縦に振り続ける。

「というわけで第一回『肝試しでラブラブする二人を見たい♪でも、本当は愛憎劇でドロドロな三人の方が…』を開催したいと思います!!」

《第16話・肝試し度胸試し》

◆◇◆◇◆◇◆◇

「…肝試しというのは夏の夜に墓場などで怖い思いをすることで涼しくなろうというやつですか?」

楓が少し顔を曇らせて尋ねた。

「ええ♪ドンピシャです♪」

楓は途端に踵を返し、スタートダッシュを決めようとする。

「こら、楓ねえさん逃げるな」
「確保して下さい♪」

パチンと朧が指を鳴らす。瞬時に楓の前にヒロシとユウが立ち塞がった。

「んふふ〜♪か〜え〜ちゃ〜ん♪ど〜こ〜い〜く〜の〜♪」

ギリギリとぜんまい仕掛けの玩具のように楓は恐る恐る振り向いた。
笑顔の希早紀が迫る。

「んふふ♪逃がさないよ〜♪」

希早紀は強制的に楓の脇を抱え、元の場所まで引きずっていく。

「お疲れ様です♪」
「じゃあ、籤を引いて下さ〜い」

いつの間に準備したのか、霞は大きく『?』のついた箱を持って、一人一人に回していく。
箱の中から次々に二つ折りにされた紙が取り出される。

「さあ、開いて♪」

ゆっくりと紙が開かれる。

「よろしくね、しぃ君♪」
「あ、ああ…」

第一班。
椎名武慶と佐々希早紀の伝わらない片思い組。

「「よろしくお願いします」」
「……何で疾風じゃねぇんだよ…しかも、何で二人なんだよ…」
「「僕ら一心同体なので」」

第二班。
間宮ヒロシ、ユウと功刀千代子のある意味逆ハーレム組。

「よろしく〜刃梛枷ちゃん♪」
「………」

第三班。
田中彼方と黒鵺刃梛枷の正反対組。
そして…

「大丈夫?」
「…む、無論…」

第四班。
忍足疾風と小鳥遊楓のもどかしい仮許婚組。

「じゃあ、ルールを説明しま〜す。此所に二つの道が見えますね?」

目の前には竹林に覆われた二つの道がぽっかりと黒い口を開けて一行を待ち構えている。


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