刃に心《第16話・肝試し度胸試し》-2
「右の道を行って下さい。すると、小さな祠がありますのでそこに置いてある御札を持って、そのまま進んで下さい。
この二つの道はU字になっているので帰りはこの左の道から此所に戻ってくることになります。判りましたか?」
こくりと一同が頷く。
「支給品として懐中電灯を渡します。ただし!」
「ペア同士、手を握って進んで下さいねぇ♪」
僅かにピクリと反応する者達。詳しく言うと、楓と千代子と刃梛枷と武慶、そして彼方。
「ルールが判っていただけたところで、第一班スタート♪」
「はぁ〜い♪」
希早紀が武慶の腕を掴むとズンズン進んでいく。
「んふふ〜♪」
「き、希早紀…ちょっと……む、胸が……」
「んふふ♪」
希早紀と武慶は闇の中へと姿を消していった。
「では、私も出撃します♪」
霞がビデオとデジカメを持ちながら、敬礼をする。
「よろしくお願いしますねぇ〜♪」
「ラジャ〜♪」
浴衣だというのに、普段とあまり変わらない速度で霞は駆けていった。
その数分後。
「では、第二班スタート♪」
その声に双子が千代子の両手をそれぞれ握る。
「やめろ!離せ!」
「ルールですので」
「ですので」
「僕らを疾風だと思って」
「だと思って」
「思えるかッ!!」
「チョコ先輩〜」
「チョコ先輩〜」
「その名前を呼ぶんじゃねえ!その名前で呼んでいいのは疾風だけだあ!!」
抵抗しながら千代子は双子に引きずられていく。
「次は…」
「先輩。次、俺達行ってもいいですか?」
疾風が言った。
その隣りでは楓が浮かない表情をして小刻みに震えている。
「前にも後ろにも人がいた方が楓も少しは安心すると思いますので」
「そうですねぇ♪判りました。お二人は如何ですか?」
朧が彼方と刃梛枷に尋ねる。
彼方はブンブンと、刃梛枷は静かに首を縦に振った。