たったひとこと【第4話お泊まりミッドナイト】-1
あの事件から1週間が過ぎた。
3人の処分は一週間の謹慎と反省文の提出のみだった。生徒の証言が効いたのだろう。
族4人は警察に引っ張られその後は知れない。
たった一日の出来事。ともあれ6人の絆を深めるには充分だった。
6人目?もちろん・・・
「六呂、アンタ嘘ついてるわね」
「何やて!?まさか」
「マリ姉・・・ろくちゃんは嘘なんか。ねえっ」
「・・・」
「私位になると人の嘘なんて一目みりゃ解るってもんだ。六呂・・・観念しな」
「・・・」
「・・・だうとっ!!」
「ハズレ。7だ」
絶叫して手札を床に叩きつけるマリ姉。
「あ―もう嫌っ!!ヤメテヤルッ!」
「あははっ。マリ姉弱―い」
放課後、雨が降ってきたのでくるめの家で雨宿りしているのだ。
。
「姉さん、負けてばっかやがな」
「・・・ウルサイ。私はこういう心理戦みたいなゲームは苦手なんだ」
「頭を使うのにも得手不得手というものがあるのだろう」
11連勝を決めた男がさらりと言う。
「・・・最近1限目から来るようになった奴に言われたくない」
「でも六呂も変わったよなあ。なんていうか顔つきも性格も」
確かに、最初見た頃は眼はギラギラして、その下にクマがあり、痩せていて長身。本当にドクロという感じだった。壮絶な毎日を送っていたのだろう。未だに多くは語ろうとしないが。
今の彼は少しふっくらとして、無口ながらも少しずつ喋るようになっていた。
「アンタ、よく見たら結構男前だねえ♪」
物色するように顔を眺めるマリ姉に
「マリ姉っ、ダメですよっ!!」
「くるめ、何がダメなのお♪」
ニヤニヤ笑いを隠そうともせずマリ姉が尋ねる。
「もう、マリ姉のいじわる・・・」
顔を真っ赤にしたくるめがふてくされて下を向く。
「にしても、潤原がこんなお嬢様だったなんてな」
周りを見回して成之が言う。
居間にしては広すぎる室内、巨大なシャンデリア、彫刻、絵画の数々・・・
「このトランプも高そうやもんなあ。フチがキンピカに光って」
「あ、それ金ですよ」
「金?」
「はい」
「・・・金ってあの金?」
「はい。確かカード全部で百万円位ですね」
みんな一斉に手元からポロリと落とす。
同時にボ―ンと柱時計が鳴り
「あっ、もう6時やでっ!そろそろ帰ろかっ!」
「そっ、そうだな!」
玄関を開けると待っていたのは