たったひとこと【第4話お泊まりミッドナイト】-10
「悪かった。そのまま続けて・・・」
ゆっくりドアを閉じようとするマリ姉。
「わ―――!!違うの!違うの!これは閉じ込められて」
「し、詩乃」
顔中冷や汗だらけの成之。
「・・・ぎぶ」
どさっ
詩乃の胸の上に着地する成之の頭。
「まあ成之さん、見境ないんですね・」
いつの間にか隣にいるくるめが上品に笑っている。
「ちっ違うって、成之が怪我を・・・ってテメエら話を聞けえ―――!!!」
その大絶叫は屋敷中に轟いたという。
○○○○○○○○○○○○
朝食をとった一行は、いったん各々家に戻ることにした。
成之は角材の落ちた所が運良くねんざ程度の怪我で済んだ。
「やっぱ何もなかったのかなぁ―?成之も本当に怪我してたし」
「でも前程ギスギスした感じじゃなくなりましたね。今日の出来事がひょっとするとひょっとするかも♪」
○○○○○○○○○○○○
「じゃあここで」
「ああ。また」
いつものY字路。いつもの出会う場所。いつもとは・・・違う2人。
「あっ、成之!」
「?」
「あの、準備できたら一緒に学校行かない?」
「!・・・おう!そうしよう!」
それは今までと同じこと。肩を並べて学校へ行く。
ただそれだけのことが約束を取りつけるだけで全く違うように感じる。
あの時、目を閉じたんだよな、詩乃。あれってやっぱり・・・
キス(をする寸前)までいったのは2人にとって大きすぎる前進だった。
思い返す度に嬉しくなって顔がニヤける。
その上、一緒に学校に行こう、だなんてもう!
まるで踊り出したくなるような気分になる。
「フンフンフフフン♪」
いつもの鼻唄にも調子が出る。
「おいっ、お前!」
学校に行ったら何を話そう?
「コラ―!そこのお前、退け―!!」
帰り道も一緒に帰ってくれるだろうか?
「退けっつってんだろ―――!!!」
「へ・・・?」
声の方へ首を90度回すとこっちに向かって走ってくる男の子が・・・
え?男の子?
グワッシャ―ン