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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈覚醒篇〉-9

「こいつらはオレ達の大切な仲間なんだ。だから今…本当に嬉しい。」

ベッドに横たわる二人を見ながら貴未は高ぶる感情を押さえ切れず涙声になった。

日向は気付いた事がある。千羅も瑛琳もそうだが、ここにいる人達は大切な仲間という言葉を口にする。それは感情が高ぶった時や当てはまる言葉が見つからない時にそれは現れた。

雰囲気で分かる。誰もがカルサとリュナを大切に思っている。二人の幸せを願っている。

一体どんな人なんだろう?

当然のように生まれた疑問の答えを探す間もなく、日向に質問が投げかけられた。

「それで、どこから来たん?」

紅奈の質問は代表として出された言葉だった。あまりにストレートすぎる質問に日向はとまどい、またも体が固まってしまう。

「貴女方と一緒よ?結界士。」

代わりに答えた瑛琳に言葉を発せず驚いた。双子はお互いの顔を見て、日向に視線を送る。日向もとまどいから瑛琳に目で助けを求めた。

「お互いに色々あった。情報交換といこう。まずサルス、そちらにいる女性はどなただ?」

千羅の声に、サルスの横でリュナを愛しそうに見ていたレプリカがスポットを当てられた。皆の視線を感じ、彼女は背筋を伸ばしてそれに応える。

「彼女は…。」

「レプリカ、と申します。」

サルスのフォローを遮り、レプリカは自ら一歩前にでて名乗る。態度はどこまでもりりしく、一切の隙もない。只者でないことは分かり切っていた事だった。

「皆さんは名乗らなくても私は熟知しております。私は幼き頃より衛兵としてリュナ様にお仕えしておりました。」

「衛兵?あ、それオレ聞いた事ある!な、サルス?あの嵐の日にリュナがちらっと言ってたよな!?」

「嵐?…あいにく、覚えがないな。」

貴未の言葉にサルスは古い記憶を掘り起こしてみるが、どうしても見当たらなかった。その後の出来事が衝撃的すぎて、実際のところ記憶に自信がない。

「風神がいきなり衛兵を連れて現れたら攻撃されるかもしれない。私はリュナ様の身を案じてこちらでは表だつ事は行ないませんでした。」

何かあればすぐに対処できるように宮仕えとして傍に控えていたと彼女は続けた。何があるか分からない、いつでも自分を呼んでほしいと伝えたら、カルサ・トルナスにそんな心配は無用だとリュナは答えた。

彼女の言葉どおりレプリカは出番がなく、時折リュナに会いに行って話をするくらいだったという。

「でもさ、こんな雰囲気の子いたか?」

「うちも見覚えないけど…変装でもしとったんとちゃうか?」

「はい、姿は変えさせていただきました。セーラ、と名乗ればお分りでしょうか?」

いきなり出た聞き慣れた名前に誰もが驚きを隠せなかった。若くして信頼を得てリュナ付きの女官に任命されたのがセーラ、レプリカにその面影はない。しかしセーラには大多数の者が世話になっていた。


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