ある一つのカタチ-2
碧志の部屋に、しばらくの静寂と月明かりが溢れた。
「なぁ」
「……ん?」
拘束を解かれた満は身なりを整え、碧志をの寝ころんだベッドに、彼に背を向ける形で腰掛けた。
「お前…さぁ………」
二人の間に、何とも言えない空気が漂う。
「好き」
満はそう呟いていた。
「やっぱり碧志が好き」
遠くの方で、車が空を切っていった。
「なぁ…」
碧志は言葉を詰まらせながら、ただ満の声に耳を傾ける。
「膝枕…してくれないか?」
月の明かりが横切る雲に遮られ、部屋の中が一瞬真っ暗になった。
そして雲が流れ、再び部屋に金色の明かりが差し込む。
その時には、碧志の頭は満の膝の上にのっていた。
「もう、どこにも行くなよ」
「………うん」
月が西に傾き始める。
お互いの温もりを確かめるかのように握られた手を照らしながら…。
終