ESPECIALLY FOR YOU-1
私が思うに、人はみんな二番目に好きな人と結ばれる。
だって、私はあなたと結ばれなかったのだから…。
「久しぶりやな」
「うん」
「元気そうやん」
「そっちもね」
隣の運転席には懐かしいあなたがいる。
今さら私があなたの車に乗っているなんて変なの…。
今日は天気があまりにも良かったからエステに行って、それから買い物をした。
タクシーで帰ろうと大通りを歩いていると横に一台の車が止まって、そして私の名前を呼ぶ声がした。
車の窓からは懐かしい顔……私の一番好きだった人。
「いい車乗ってるやん」
「やろっ!?」
褒められると嬉しそうに笑う一番好きな笑顔。少し胸が苦しくなる。
私はあなたが本当に好きだった。フラれてしまったけど、大学の四年間あなたを忘れた日なんてなかった。
引きずっていたわけではない。他の人と付き合ったりもした。だけどあなたの姿を見るとどこか切なくて、思い出す。
すぐ目移りしてしまう恋愛女な私が一途に想い続けた人。
「もう夕食済ませた?」
「ううん」
「ほな、どっか行く?」
「あー…」
一緒にご飯に行くなんて大学を卒業して以来。
本当は「うん」と言ってしまいたいところだけど、誘いに戸惑ったのには理由があった。
「彼氏いるから…」
小さな声で申し訳なさそうに言う私に、あなたは「あーはいはい」と笑った。
三年前と変わらない優しい横顔。
流れている洋楽のやわらかく静かな曲はあなたにぴったり。