俺らの明日FINAL-4
〜20年後編〜
「かっかっか。」
「そういやそんなこともあったな。」
「ようよう。」
「おー、賢治じゃねーか。久しぶりだな。」
「そうだな。お前完全におっさんだな。」
「ほっとけよ。」
「お前はいい体つきしてんな。」
「まぁ、俺は体が資本だからな。」
「自衛隊はどんな調子だ?」
「おかげさまで姿勢はかなりいいよ。」
「わははは。」
「宮本は?」
「さっき駅に着いたって電話あったからもう来るだろ。」
「そっかそっか。」
『あの、ご注文は?』
「ああ、全員揃ってから頼むんで、また後で。」
『かしこまりました。』
「お前はどうだ?塾の先生は?」
「きついね〜。給料安いし。」
「そっか。」
「まぁ、あの生徒の笑顔見たらやめらんねーけどな。」
「お前はどうなんだよ?役所仕事は?」
「世間の目は厳しいね〜。マニュアル通りしかできねえのか、だってさ。」
「きついね〜。」
「みんなそんなもんだよ。」
「う〜す。」
「おー、宮本〜。」
「久しぶりだな〜。」
「みんないい感じにおっさんだな。」
「賢治と同じこと言ってやがる。」
「すいませーん。生中4つ。」
「お前も良い体してんな。」
「まぁ、一日中歩き回ってるからな。」
「頼むぜ、刑事さん。」
「なんかあったら体張って俺ら助けてくれよ。」
「お前もどっちかつーたら助けるほうだろ。」
「それもそうか。」
「全員揃うのは何年ぶりだ?」
「宮本の結婚式以来だから10年ぶりぐらいじゃねーか?」
「もうそんなに経つか〜。」
「いいよな〜、あんな美人の奥さんで。」
「お前も十分綺麗な嫁さんじゃねーか。」
「今じゃ完全におばはんだよ。」
「うちもそうだって。」
『お待たせしました〜。』
「どもども。」
「さて、ほんじゃ乾杯といきますか。」
「何に乾杯する?」
「そりゃ再会を祝してだろ。」
「平凡すぎるって。」
「じゃあ何だよ?」
「そうだなぁ〜。」
「あれはどうだ?卒業式にお前が言ったやつ。」
「えっと、ON YOURA MARKか?」
「そうそれ。」
「でもあれって『位置について』って意味だろ?」
「『位置について』に乾杯は変だろ。」
「それもそうだな。」
「じゃあ何にする?」
「明日にしよう。」
「何言ってんだよお前。何で明日まで待たなくちゃいけねーんだよ。」
「ていうか俺明日仕事だよ。」
「そうじゃない。俺らの明日に乾杯だ。」
「4O近いおっさんが何キザなセリフ吐いてんだよ。」
「俺は永遠の十代なんだよ。」
「最悪だこいつ。」
「誰もが口にするのを躊躇う事を平然と言いやがった。」
「黙れ黙れ。で、どうすんだ?」
「いいんじゃねーか?」
「俺も賛成だ。」
「悪くないな。」
「決定だな。え〜、そんじゃ、ま、ちっせぇ俺らの明日に。」
「そうだな、馬鹿な俺らの明日に。」
「あ、てめ、それ俺が言おうとしたのに!」
「早い者勝ちだ。」
「くそ、じゃあおっさんな俺らの明日に。」
「平凡な俺らの明日に。」
「「「「乾杯!!」」」」