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舞い斬る華
【ファンタジー 恋愛小説】

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舞い斬る華 第九章 (完結)-1

椿とシルディア、老師は防弾対策がしっかりされている着衣を装備する。
見た目こそ前回同様普通の服だが、国の研究設備の科学の結晶とも言うべき最近式で、
強力な弾も簡単には貫けず、それでいて動きに邪魔にならない軽い素材だ。

「これも万が一の装備じゃ
刀の方もしっかり装備したかぇ?」

困惑するような事態の究明に向けて、その手がかりになるかもしれないバイクを探しに良く
最近の現状が現状なだけに緊張が走る。

とは言え、場所はこの本部敷地内なのでこれといった荷物は無い。
むしろ何も無ければ、ただ行って戻ってくるだけなのだ。

三人はすれ違う人たちに何事も無いように振る舞い、発信機の反応のあった本部の地下駐車場の方へと向かう。

このビルは敷地全体が国の警察の捜査基地のような役目をしており、その一角に特殊課として椿たちの所属する本部、宿舎がある。
そして地下は全てが地下駐車場となっている。

車やバイクは駐車場に停めて駐車場の中央付近にあるエレベーターからビル内に入れる。

地下一階
「随分広いなぁ」
車がほとんど停まっていないガランとした駐車場を見渡す

ここに沢山車が停まっていたのは何年か前の話で、今はオートメーション化や発達した端末のおかげで外部からも情報確認が出来るために、
常駐する役員はかなり少ない。
まぁ、機密組織として活動するのに都合のいい状況ではある。

老師はモバイル端末を覗き込む。
「もう一階、下のようじゃな」

地下は三階まであり、地下一階からはエレベーターはすぐ隣の地下用に乗り換えになる。
3人は隣に移り、B2のボタンを押す。

チン

地下一階よりもガランとした駐車場。
車も一台もなく、誰も居ない。

「なぁ老師」

「どうしたんじゃ?」

椿は少し考え込むようなそぶりを見せる
「こんなところにそのバイクがあるってのも、おかしな話じゃないか?」

「じゃのぅ…」

一階ですらガランとしているのに、わざわざ二階に停めてあるバイク
何かあると踏んだ3人に緊張が走る。

「この正面に200メートルくらいじゃな…」

3人は何があっても良いように、刀を抜き臨戦態勢をとって歩く。

残り150メートル…

100メートル…

50メートル…

そこまで何も無い…

その何も無いことが、この薄暗さと地下の独特な重い空気で余計な不安をかきたてる。


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