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狂い咲く想いを揃えて
【調教 官能小説】

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狂い咲く想いを揃えて-9

「ねえ、いつから好きだったの?」
「初めて会った時から…」
えっ?
ぼやけた神経が目覚める。

…20年も??

「まさか…」
「本当だよ。君は覚えているかな?俺のこと、気持ち悪いと言ったんだよ」
あ、覚えてる…。
「俺、今までカッコいいとかハンサムとか…言い方は悪いけど、褒められるのに慣れていたんだ。それを君がひっくり返したんだよ」
楽しそうに彼は笑った。
「だって…」
まだ子供だったのよ。世間知らずの…。
14のごく普通の中学生で、何もかも普通だった。
そんな時に現れたあんたは24の大人で、すごい違和感だった。

「それに笑顔が嫌いだの、声が嫌いだの言われて…君にはいろいろショックをもらってばかりだよ。それで気になったんだ」
確かに『髑髏の笑顔』とか、からかったな。
「若い人で笑い皺を見たの、あんたが初めてだったもん」
珍しさを通り越して、気味悪かったの…。

「髪を長く伸ばしていたね。願掛けをするために…可愛いなぁと俺も伸ばしたんだ」
「本当に?」
「うん。それで君が坊主ってカッコいいねと言った時は、本気で坊主になろうかと思ったよ」

呆れた…。

「馬鹿じゃないの?」
「そうだね。でも俺は長い方が似合うって言ってくれたから…」
「ああ、言ったね」
「でも君がショートになった時は、俺もショートにしたよ」
「似合わなかった」
「そう。ピンクの服が似合う男が好きと聞けば、やっぱりピンクを着たくなるし。とにかく…俺を好きになってほしかった」
「……あんたって可愛い」
「ふはは。本当に好きだったんだ、年甲斐もなく」
「どうして早く言ってくれなかったの?」
「嫌われてると思ったから」
「この小心者…」

それを言うなら私も同罪か。
だって、あの美貌だよ?
私だって好かれているとは思わなかった。
まったく悲劇だね。
愛される受け身に慣れすぎて、愛し方を知らなかった彼。
傷つく勇気がない代わりに、何もせずただ見守るばかり。狡いね。
不器用な彼は、無駄に楽に呑気に控えめに20年を醸成してきたのだ。

まさに尻を蹴っ飛ばしたくなるような話…。


「君こそが俺の未知数だよ」


私が先に行けば、彼が後を追う。
そんな奇妙なお揃いスタイルが出来上がったんだね。


「いっぱい人を傷つけたね、あんたは…」
「うん。でも君に嫌われるよりまだマシだ」
「…非道」
「責任とってよ」
「嫌だね。あんたの弱さと優しさが招いた結果だ」
「じゃ、何があっても俺を守って。愛して。どこにも行かないで。そしたら俺も頑張れる」
「女々しい。…けど、いいよ」
「一緒にいてくれる?」
「あんたが言うならね」
「いてよ」
「いいよ」
嬉しさ全開で彼が私の腰に抱きつく。彼の頬が胸に擦り寄ってくる。
可愛い…。
私も彼の肩を抱く。


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