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堕天使と殺人鬼
【二次創作 その他小説】

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堕天使と殺人鬼--第7話---5

 優美の所属する女子主流派グループは、クラス一大きなグループであるからか、グループ内で性格的に合わない者がそれぞれに少なくとも一人はいるのが現状だった。
 しかし、普通なら何かしら衝撃するはずの彼女たちを今日まで纏め上げて来れたのは勿論、草野香澄のリーダーシップがきちんと取れていたのもあるが、優美の面倒見の良さもかなりの影響を与えていた。
 それに気付いてくれたのは、遠山先生、ただ一人である。また優美の判断力を評価してくれたのも、とても嬉しかった。
 そんな先生に必死で庇って貰えただけで、かなり幸せなことである――優美は、心からそう思った。
 それに――優美は思った――自分には、三木原の言うところの?ゲーム?のルール通りに行動するのは、全員ではないが、大切な人たちの多いこのクラスでは絶対に不可能だ。ならば――些か無責任かも知れないが、今ここで命を絶った方が、地獄を経験するよりはずっとマシである。寧ろ幸せかも知れない。

 優美は静かに目を閉じると、少しだけ微笑んでみせた。
「遠山先生……今まで、お世話になりました。」
「保志……」
 遠山先生は、まだ中学三年でしかない少女の驚くべき覚悟に、呆然としているようだった。
 三木原は優美の少女らしからぬ覚悟に些か感動したようで、優美のその丸っこい頭を二度撫で上げると、こめかみに押し当てていた小銃の先端を更に強く押し付けて来る。
 優美は最後に、想いを巡らせた――これで、あたしの短い人生も終わる。まだまだしたいことが沢山あったけど、それも仕方がない――ただ、病弱な母は気掛かりであった。自分が死んだことを知って、身体を壊さないだろうか――いや、心優しい父も、優美と同じように面倒見の良い妹もいるのだ。きっと、大丈夫に違いない――心残りは、ない。
 優美がそこまで思考を巡らせたのと同時に、一発の乾いた銃声が響き渡った。
 優美の左のこめかみには小さな穴が開いて、逆にその反対の右こめかみには野球ボールほどの大きな穴が開き、ピンク色のゼリー状液体や肉片が勢いよく飛び散り床を汚した。
 優美の力ない身体が衝撃で右に倒れ、血液の湖に、その顔を沈めた。

 呆然とそれを見詰めていた遠山先生が途端に身を震わせ泣き叫び出したが、すでに絶命していた優美には、分かる由もないことであった。


 こうして、陰ながら女子主流派グループを支えて続けて来た保志優美は死んだ。
 彼女は最期まで、微笑したままであった。





【-- 死亡者一覧 --】
・保志優美(女子十五番)

〔合計:一名〕


【残り:三十七名】


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