たったひとこと【第3話:Shall we ランチ?】-6
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夕方。帰り道。大人と子供のようなシルエット2人。
「こうやって一緒に帰るの小学校ぶりだね、ろくちゃん」
「・・・その呼び方止めろつったろ」
「だってろくちゃんはろくちゃんだもん」
嬉しそうに歌うように話すくるめ。
その笑顔を見ていると胸がズキズキしてくる。
一人でくるめを守れただろうか?
「私ね、お料理上手くなったんだよ。また食べにおいでよ。ろくちゃん、ハンバーグ好きだったよね」
俺はこの瞬間をいつまで保てるだろう?
「覚えてる?小学校の時、私男子からいじめられて。でもいつもろくちゃんが守ってくれて。高校生になったのにくるめは弱いままだね」
違う。違うんだよ。
とっさにくるめの手を握る六呂。
俺はいつだってくるめに守られてばっかだ。
「・・・いつもお互い素直でいられたらいいのにね」
くるめは強くその手を握りかえした。
第4話へ続く・・・