たったひとこと【第3話:Shall we ランチ?】-2
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「へえ、成之さんて詩乃の家の近くのマンションで一人暮らししてるんですか」
「うん、まあね。親が紹介してくれた安アパ―トだけど、まさか詩乃の家から歩いて5分の所だったなんてね。あっはっは」
事実検証1【成之の家が遠くに引っ越した為、一番近くの物件を不動産で探し、親の反対を押しきって一人暮らしを開始】
「朝一緒に通学してるんか?」
「そんなつもりはないんだけど朝家を出ると何故かよく会うのよね。偶然って恐いわね。ウフフフフ」
事実検証2【成之が合流地点まで来るのに要する歩数、時間を計測し、家を何時何分に出れば一緒に学校に行けるかを計算できる公式を発明(この公式は成之も独自にあみだしている)】
「詩乃が何か怖いです・・・」
「な、言った通りだろ?」
「詩乃ちゃん、オレのこと、覚えてる?先月告白してフラれた」
「覚えてない」
即答。
「ぷっ」
成之が勝ち誇ったように笑みを浮かべている。
「ああ!そういえば好きな人がいるんやったなあ!詩乃ちゃんには!オレはそう言われたでえ!」
「なっ!?」
(ザマ―ミロ成之!さっさとフラれて同類になれや!)
チャンス!
「そぉ―なんだ詩乃ぉ♪だれだれぇ?♪」
(早く吐いて楽になっちまえ!)
「え?え?あ、アタシは、その」
成之を見る。じっと詩乃の言葉を待っている。
ように見えるが心中は
(う、嘘だと言ってくれ―!うわ―ん!!)
「ア、アタシは・・・」
ごくり・・・
「あっ、ああ―!!」
突然、成之が校庭を指さす。
「うっさ!何やねん!」
「いや、その、あそこにいるのさ、オレらのクラスのヤツじゃなかったかな」
皆で柵から校庭を見下ろす。
「今頃登校か?」
「ああ、ドクロやん」
「ドクロ・・・?」
「泣く子もシバくウチのクラスの糞不良。いっつも昼から来て空気悪くして帰っていくんや。確か今週からフル出席やないと留年て聞いたけど、この分やったら無理やろうな」
「本名か?」
「まさか。でもあんな奴の名前誰も知らんて。不良は不良なんやから学校なんか来んでもなあ。それより詩乃ちゃんの好きな人」
「・・・何でそんなこと言うんですか?」
最初、その声が誰から発せられたのか分かる者はいなかった。
あのおとなしいくるめから発せられた言葉とは思えない程感情のこもった言葉だった。