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舞い斬る華
【ファンタジー 恋愛小説】

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舞い斬る華 第五章-3

時間は深夜2時

ガチャ…

「ん?」

椿は実戦向けの生活で眠りを浅くしていたのと少し眠れなかったのもあり、自分の部屋への侵入者に即気づく。

バタン…

殺気!!!?

椿はバっと飛び起きる!
そこに枕に突き刺さる刀!!!

大きく太いその太刀…

「シルディアだな!?」

「へへ〜バレちった」

ピョコンと窓から射す月明かりに姿を現すシルディア

「びっくりした?」
昔見せた子悪魔ちっくな笑顔で覗き込む

「シャレになんねーっての!」
シルディアの頭をガッと抱えておでこをグリグリする

にこにこ笑うシルディア…が、少しその笑顔に影を落とす

それに気づいた椿
「どうかしたか?」

「んー…ちょっとね
明日のこと…考えたら眠れなくって…」

つやのある綺麗な金髪の髪を撫でながら
「怖いのか?」

下げた顔も上げれないままシルディアは答える
「ちょっと不安…」

シルディアはその顔を軽く上げる。
「あのね…?
前に、ホテルのレストランで言おうとしたの覚えてる?」

間近にあった顔に照れてか、少し顔を離して答える。
「ああ。
…どうかしたのか?」

この少し遠まわしな言葉の使い方
あれから今まで一切そこには触れず、今回切り出してきたシルディアにも自分から聞きだそうとしない
椿の優しさだろうか。

シルディアはいつもと変わらない椿に少し安心したような決心したような微妙な表情で口を動かし始める…

「実は…ね」





「そっか…ご両親とも…組織に…」

話はとても悲惨なものだった

幼き頃に襲われた彼女の身代わりに命を落とした母
今の自分と同じ国の仕事をしていた父
その父も組織の手によって殺害されたこと…


椿はシルディアをギュっと抱きしめた。
震える肩が落ち着きを取り戻すまで…

そして頬を伝う涙を拭い…………
「俺が側に居るよ」




シルディアが初めて感じた唇の温かさは、その涙を止め処ないものにさせる力をもっていた。


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