ふたりの初デート!-3
『私はあなたの記憶を失って、私じゃない私になってしまうけど……今の私を絶対に忘れないで…。』
『そんなこと…当たり前だろ!俺は……今の君も…変わってしまった君も…ずっとずっと、愛し続ける…!』
エリカ用と思って持ってきたハンカチを、まさかふたりで共用することになるとは。
そして映画が終わり、まだ暗い内に俺は……
「エリカ…」
そっとエリカの肩に手を当てる。
「うん…」
エリカは頷いてちょっとだけ顎を上げる。
そして、俺は唇を近付けていって………
………
………
………
───
「ユキもあの人くらいあたしのこと大事にしてよね?」
エリカ俺に向けて眩しいくらいの笑みを浮かべる。
…どうやら今日のデートは大成功だったようだ。
「エリカがあの女優さんくらい、いい人だったらなぁ。」
「そ、そんなこと言うんだ……」
「え?」
「やっぱり……ユキもっ…き、綺麗な人の方がっ…いっ、いいんだよねっ…」
「うえぇ!? いや、そういうことじゃなくてさ」
「グスッ…グスッ…」
「あぁ〜ごごごめん!え、エリカかわいいから!俺すっげえエリカのこと大事にするから!だから、な?」
「…なんちゃって。」
「………へ?」
「あ〜やっぱり面白いね。あははっ、今の慌て方ったらもうすごかったよ。かわいい。」
「だ、騙したのか…?」
「てへっ。」
『てへっ』…てオイ。
……まぁ、俺が意地悪言ったのも悪いからな。
「約束だよ?」
「…なにが?」
「今、ユキが言ったこと。あたしのこと、すっごく大事にしてよね。」
「あ、あぁ。うん、約束する。」
「えへへ。あたしもいい女になるからさ。」
「お。そっちこそ、それ約束しろよ?」
「い〜〜よ。」
……てか、エリカはそのままでも十分いい女だよ。
ま、これは胸の内に秘めとくとするか。
そして俺たちは、家まで手を繋ぎ合って帰ったのだった。
終わり