舞い斬る華 第三章-5
「我が国でも秘密裏に調査をしてきましたが、どうやらテロリストが人体実験をしている場所がこの国にも存在する。
かといって、そいつらも新人類。正直、我が軍事力でも銃やそこらじゃ太刀打ちが出来ない」
皆がその言葉を聞き入る。
カタカタ……
ふと、下を見るとその椿の斜め横で小さな体を振るわせる女の子が居た。
椿はそっとその子の手を握る。
ぎゅっと彼女は椿の手を握り返してきた。
「その皆様の常人を超える鍛えぬいたスピードや力、瞬発力。是非とも、我々と共に戦ってはくれないか?」
そう、このお話は国の軍事への勧誘だった。
新人類は死なぬそのからだを鍛えて強い人は多い。
やはりどれだけぶつかっても大丈夫な精神力も強い。
軍隊にも当然何人も存在しているのだが、その新人類のテロリストともなれば太刀打ちは難しい。
同じ新人類の中でも相当なてだれが必要となる。
明日までに答えが欲しいと言い残し、お偉いさんはその場を後にする。
華やかな雰囲気から一転、皆、神妙な面持ちでその場を後にした。
銃や拳なんかが効かない新人類を止めるには、相当な爆撃などが必要になる。
まさかそんなものこの街中で使えるわけが無い。
そうなると、やっぱり刀というのはうってつけらしい。
死にはしないが、真っ二つにすればそう簡単に自力では戻れない。
そこを確保でもするのだろう。
椿は初めて事件のことを知り、困惑そして色々考え込んでいる感じだった。
ずっと立ちすくんでいたシルディアが口を開ける。
「私は…」
椿からは見えなかったが、その青い瞳には闘志のようなものが見えた。
そして椿の方を向く。
いつものシルディアスマイルだ。
「ね、私も勝ったし…約束のゴハン…しよ?」
「ん♪」
ホテルに戻り、その上階に位置する高級レストラン
椿も結構賞金が入ったが、シルディアも同じくらいの金額を手にしていた。
二人で旨い食事を食べながら、椿は軽くアルコールを体に染みさせる。
「ふぅ…そうだ、さっきの…あれ、、シルディアはどうするんだ?」
「ん〜行くことにするよ♪元々放浪の身だしね♪」
そしてクスっと笑う
しかし、その笑顔には…少し陰りがあるように見えた。
「知ってたのか?あの話…」
「ん〜…うん。」
カチャンとフォークを置いて、シルディアは少しうつむいて続ける。
「実は……私……ね…」
その肩は小さく震えていた。
雰囲気もこわばって、息も少しおかしくなってきていた。