舞い斬る華 第二章-1
これは前回から2日後のお話……
ひょんなことから椿の部屋に二日間だけのおかしな居候が一人。
しかし、ホテル代分は働くんだという勢いで、彼女は洗濯から料理と、色々こなした。
元々そこらへんは椿はホテルのサービスを利用しているので必要は無いのだが、楽しそうに生き生きとした表情で家事をするシルディアの行為が椿には心地よく、止めはしなかった。
本日の試合。
椿にとっては準決勝。
シルディアには4位決定戦のための敗者復活戦となる。
ちなみに、この順位システムは、決勝での勝ちは当然優勝で負ければ2位
準決勝は勝てば決勝、負けたら3位決定戦で、そこでまた負ければ敗者復活戦のトップと4位を争うことになる。
また、3回戦での敗者のみ敗者復活戦へとエントリーされるので、一昨日の二人の試合は3回戦目ということになる。
「スネークさんは今日の最終試合ね!メインイベンターなんていいなぁ〜」
そういう彼女は本戦より先に行われる敗者復活戦で本日の2試合目である。
元々手荷物の少ないシルディアは、軽く荷物をまとめるとニッコリ笑ってありがとうと言い残し部屋を出て行く。
「ん〜…夕方まで暇だしな…見に行ってやっか…」
椿は必要品だけポケットに詰め込むと、カードキーをかけシルディアの居る、そして自分の準決勝の場所となる会場へと向かった。
通常はチケットだの予約だので入ることさえ困難な人気をもつこの観覧席だが、対戦者は自由に観戦出きるスペースが設けられている。
「客席から人のバトルを見るなんて…久しぶりだな…」
椿は一般席よりワンランク上と思われる椅子にドカっと座り足を組む
時間は第一試合の真っ最中で、西洋風のロングソードと海賊風の三日月サーベルの火花散るガタイの良い男同士の一騎打ちだった。
「好きなやつは好きなんだろうけど…やっぱ華がねぇよなぁ…」
自分の受付時間は午後からだしまだまだ余裕があるので、そのまま華ってものをブツブツ語りながら試合を眺める。
そしてちょっと背伸びしている隙に、サーベルオヤジの武器が折れたらしく、獲物と体が真っ二つになっていた
「獲物の手入れは毎日かかしてはいけないよ。うんうん」
椿は独自の変形刀を大切にして、試合毎に手入れを欠かしたことは無い。
そこら辺は剣術家としてのプライドとかは高いようだ。
前座扱いの敗者復活戦のなんて大したもんじゃなく、勝ち名乗りもさっさと終わり第二試合に移る。
今度は中量級の選手が二刀流の十手のようなサイのような、短刀を両手に持って出てきた。
リング上部にホログラムで映し出される電光掲示板には、名前やそこそこの戦歴が映し出されていた。