悪霊の作り方-1
私が始めて人前で泣いたのは…
私が死んだ日だった…
「ドンッ!!」
一瞬が私から光と未来を奪い去った。。。
ごくごく普通に生きてきた私
ただ、私には感情の起伏が薄く楽しい場面でも笑うことも少なければ
感動しても怒っても寂しくても泣くことも無かった。
格好よくいえばクール?
表には出しはしないけれど、卒業式だって恋愛だって心に染みるような思いはした記憶が無い。
冷徹…とても冷めた人間だったと思う。
…ん…
…どれだけ寝ていたのだろう
目を開いた私のすぐ真下には、棺に入った私が横たわっていた。
そっか…これって、死んじゃったってことなのか…
見慣れない目線からまわりを見渡すと、あまり記憶に無い親戚や仲の良かったクラスメート
そして前列に座る親や彼氏の姿も見えた。
さも寝ているかのようにピクリともせず瞑想していたり
わけもわからなく親につれてこられた子供が暇そうにキョロキョロしていたり
ハンカチを手に持って泣いていたり
これが特別なんて気にもtめず
これといった実感も無いままにボーっと冷静にその場を眺めている。
そしてお焼香
皆が前に出てきて手を合わせていく
お父さんお母さんの泣き顔はやっぱり胸にチクっときた
ごめんね〜と心の中でつぶやいた。
それでも私はただ、現状を諦めたような気分しか持ち合わせていなかった。
…とことん冷めた人間なんだな〜
そして親戚軍団の後に彼氏の番
いつから泣いていたのか、泣きむくれた顔で、さらに顔を真っ赤に染めて泣きながら私の棺を見て、お焼香を済ませる。
そういえばあの日はあいつにメール打ってる最中に跳ねられたんだよねぇ
なんの話してたんだっけな
ゲームの攻略のことだっけ?
多分、文字打ちながら周り気にせずに車道側歩いていたかも
それも今となっては私にはどうでもいいことなんだけれど…
クラスメートや先生、近所の組合の家族…と皆が次々と私の前で手を合わせていく
私はその間、ずっと泣いている彼氏を見ていた。
涙を堪えては、過去を思い出して泣いて…っとそんな感じだった。
私もそれを見ていたらあいつとの思い出がポツポツと浮かんできた。