たったひとこと【第2話:こんな2人】-1
「・・・」
「・・・」
とうとう会話のないまま教室の前まで来てしまった2人。
「・・・じゃあ」
「・・・ああ」
しかも別クラス・・・
第2話:《こんな2人》
月島高校1年Bクラス
「うわあ―――ん!!!今日もダメだったよぉ―――!!!」
「おっ、今日も告白失敗か、詩乃♪ハハハ。これで何連敗だっけか?」
「わ、笑っちゃ悪いですよ、マリ姉・・・ちなみに126連敗です・・・」
「・・・くるめ、アンタも何気にもヒドいわよ?」
「びぇ―――!!!」
大音量で泣きわめく詩乃に思わず耳を塞ぐマリ姉。クラスのみんなはもう慣れっこなのか平然とHRまでの各々の過ごし方をしている。
「ああもう悪かったよ!ほら、このガムやるから泣きやみな?」
「うええ、ひっく、子供じゃないもん・・・」
「じゃあコレなんてどうです?」
くるめが自分の席からトトトッとバックを持ってくる。
潤原 くるめ(うるはら くるめ)は一見、小学生のような容姿だが、れっきとした16歳であり、そこらの女子高生よりよっぽど家事ができる女の子だ。
にしてもツインテ―ルをふりふりしながら可愛らしいバック(これもお手製)をまさぐる姿は誰がみても子供にしかみえないが。
「あ、あった」
そう言って取り出したのは・・・
「はいっ、成之くん人形た○こた○こバ―ジョン♪」
成之に似せたぬいぐるみに例のた―○こ―た―○こ―♪の被りものが合体している。
「おいおいこんなんでお嬢ちゃんの機嫌が・・・」
「・・・」
「詩乃?」
「・・・カ」
「え?」
「ッカワイ―――!!てかカワカッコイイ―!!!くるめ、ありがと〜!宝物にするね〜♪」
「ふふふ。また新作を考えておきます♪」
詩乃を扱い慣れているくるめにほんの少し感心するマリ姉であった。
「裁縫が上手いんなら私のコレも縫い直してくれないか?」
ぐいと突き出す右腕の『風紀★委員』と書かれた金の刺しゅうの派手な紋章。
「取れかけてきてんだよな―」
「マリ姉、前から思ってたんですけど、それって暴走族みたいですよ・・・」
楮山 麻里音(かじやま まりね)通称マリ姉は本当なら今は2年生なのだが留年してしまい詩乃達のいる1年クラスに。身長も172センチと高く、男顔負けの度胸の大きさからマリ姉と呼ばれている。そのせいか美人なのに男を寄せつけない。ちなみに成之と詩乃の中学校時代の先輩でもある。