プロローグ-1
ピリリ−ピリリ−
鏡華の携帯が鳴り響いた。
我ながら音を消すコトを忘れ少し恥ずかしい。場所がホテルのバーカウンターなだけになおさら恥ずかしいと思った。。
「電話?」
連れの佐藤哲也が不機嫌そうに鞄を見る。
「ちがう。メールみたい。」
哲也はそうかと興味なさそうにつぶやき鏡華の肩を抱く。 哲也はこんな場所でも堂々とそうゆうことをする。鏡華の着メロより恥ずかしい。
男は自慢したがる生きものだ。人より高い地位にのぼり人より良い車や家などのコレクションを手にし、人より良い女を連れていたい。女もコレクションの一つなのかもしれない。美貌や色気や魅力を持った女。そんな私もコレクションの一つでしかない。
哲也と部屋に入る。先にシャワーを浴びるのは哲也。一家の一番風呂のつもりなのかわからないがいつも決まって先に行く。その間に鏡華は適当なワインとつまみを注文する。注文したところで鏡華は口にしない。食べるのは哲也だけだ。
「何を考えてる」
ベットの中で哲也に耳元で囁く。性感体を刺激され鏡華は身をよじるだけだった。
コトが終われば鏡華はすぐにシャワーを浴びる。哲也はすぐに眠りに落ちるのだった。
ザーー
シャワーを浴びながら鏡華は考える
何を考えてる?
そんな事あなたには言わない
私を愛してるなんて嘘ばっかりの言葉を囁く男には言わない
シャワーを浴び終えバスローブ姿で残りのワインを一気に飲み干した
フと気付くと哲也は上半身をお越しこちらをじっと見ていた。
「君が飲むなんてあまりないな」
「起きてたの?珍し」
鏡華は冷たく言い放った。
さすがにこたえたのか哲也は少し興奮気味に声を荒げた。
「俺はいつも鏡華の事を考えている。君を心から愛しているんだ。でも君は……何を考えてるんだ?」
服に着替え終わった鏡華は鞄を担ぐように持ち微笑を浮かべた。
「次の男」
−バタン
鏡華はホテルの前でタクシーを捉まえにわかに笑う。
「男なんてバカみたい」