真珠と陽炎-1
それが、ただ一瞬の人生の楽しみだった。
あなたは、私の希望の光だったの…
私はあなたと一緒の時だけ、息をして、動いて…
生きていたの。
いつも沈んでいた。
『友達』なんていない。
友達ぶって、イロンナモン勧誘する奴等ならいるけど。
『彼氏』もいない。顔と身体しか見ない連中ならいるわ。
ただ、気持ちが満たされたくて…
気持ちを満たせないから。
体売ってみた。
多少のお金をもらっては、今まで手に入らなかったありとあらゆるものに注ぎ込んで…
何にも残らないの。
そう、何にも。
気が付いたら、私は何処か見知らぬ場所にいて。
間違いに気がつき…
もう、遅いの。もう…
遠くに来てた。
心も体も。
『モノ』が溢れる街。
『欲望』だけの場所…
そこには、何もなく。
私を満たしてくれるのは、ペットだけ。
癒して、側にいて、寄り添ってくれるのは、ペットだけ。
自分ではどうすることも出来ない場所に来ていて…
また、戻ろうかな。
心を病んで休職中の中学校教員、西野深奈は心に決めた。
教職に戻って…
きっと、付き合っていた生徒の雄太とも…
虚しいよ…