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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『STRIKE!!』(全9話)-57

先 攻:櫻陽大

1番:津 幡(捕 手)
2番:風 間(二塁手)
3番:二ノ宮(中堅手)
4番:管弦楽(一塁手)
5番:鈴 木(遊撃手)
6番:習志野(左翼手)
7番: 林 (三塁手)
8番:間 島(右翼手)
9番:今 井(投 手)


後 攻:城二大

1番:長 見(中堅手)
2番:斉 木(遊撃手)
3番:高 杉(三塁手)
4番:木 戸(捕 手)
5番:柴 崎(左翼手)
6番:原 田(一塁手)
7番:新 村(二塁手)
8番:長谷川(右翼手)
9番:近 藤(投 手)


 オーダーの中、亮は4番を打つようになっている。直樹の出塁率と亮の勝負強さを計りにかけたうえでの決断だった。直樹や玲子としては、捕手として守りの要となっている亮に、打撃でも負担をかけることは忍びないものがあった。しかし、打線のバランスを考えたとき、亮が最も4番に適していると判断したのだ。
 そんな中にあって、エレナの加入は頗る大きい。クリーンアップを固定できたのが、その最大の効果。おかげで、春先に行われた練習試合では、得点力が数倍以上に高まった。
 足の速い長見が1番に定着したことも、得点力があがった理由のひとつである。内野の深いところに転がせば、その俊足はヒットにしてしまうからだ。
 他の面々も、練習の量では決して他に引けを取らない。その自負があるからこそ、相手が昨季の優勝チームだったとしても、士気の衰えは全く見えなかった。
「来たな」
「うん」
 本当の意味での始まり。亮も晶も、お互いに高揚するものを抑えきれない。
「相手は、強いぞ」
「かもね。でも、うちも相当強いよ」
「ああ、そうだ。なんたって、晶がいるもんな」
「………」
 少しだけ顔を赤らめて、晶が亮の手を握る。まるで、なにか力をもらうように、強く。
「一緒に、みんなでいこう」
「ん?」
「甲子園」
 き、と見上げた晶の瞳は、とても透き通っていた。
「ああ」
 忘れ物を取りに…。言葉にはしなかったが、ふたりには相通ずる想いが存在していた。

「プレイボール!」
 審判の宣言と共に、10年目となる隼リーグの第1試合が始まった。最初に迎える櫻陽大のトップバッターは小柄である。
「よろしく」
 礼儀正しくヘルメットのひさしを触りながら一礼すると、右打席の中で構えを取った。
(…………)

 標準的な構え方だ。しかし、さすがは優勝チームのレギュラーに名を連ねているだけあって、なにか構えに余裕を感じられる。つまり、無駄な力が入っていないと言うことだ。
 亮は、アウトコース低めに構えた。ストレートのレベルは1。晶はそのサインに頷き、プレートを踏みしめて大きく振りかぶった。
 高く上がった足が地面を抉り、全身を使った回転運動で、発射口である左腕に力を伝えていく。
 ぴっ、と弾けるような乾いた音とともに、白い閃光が亮のミットめがけて放たれた。



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