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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『STRIKE!!』(全9話)-125

「っ」

 ぱす…

 勢いの弱い打撃は、エレナの肉厚なヒップに吸収され、その柔らかさがバット越しに伝わってきた。
「NON!」
 瞬間、エレナにしては珍しく厳しい声が飛んだ。
「そんなのでは、ダメ! もっとです! もっと、強く打ってください!」
「え、おい……」
「PLEASE!!」
 ぐ、とさらに迫り出すダイナマイトヒップ。後ろ向けに長見を見遣るその顔は、鬼気迫っている。
 彼は、覚悟を決めた。
「………」
 一度息をはくと、バットがエレナの尻を間違いなく打つように、位置を確かめる。バットの軌道も確かめる。
 それらが、納得のいくところまで整ったところで、深呼吸をしてから、いつものように構えを取った。
「言うとおり……強くいくからな」
「……YES」
 エレナの身体が、ぎゅ、と力んだ。
 長見が、息を呑んだ。そして、脚を高く上げると、エレナのヒップに、迫りくる白球を思い起こし、それを叩くつもりで鋭くスイングした。

 ブン! ドスッッッ!!

「―――――――――――っっっっ!!!」
 エレナの肉体を打ち抜く、確かな手ごたえ。肉厚な彼女のヒップが衝撃に震えた。
「〜〜〜………!!!」
 さすがに、その強烈な痛みを防ぐことはできなかったか、ぶるぶると身体を震わせてエレナが耐えている。しかし、決して声をあげようとしない。今その身体には、打ち放たれた箇所から、とてつもない激痛が滲んでいるだろうに。
「………っ!」
 壁についている両手が、きつく握り締められている。よほど力が入っているのか、それもまた激しく痙攣していた。
「エ、エレナ……」
 心配そうな長見の声に反応するように、くるりとエレナが、姿勢を正して振り向く。
 その顔には満ち足りたような笑顔があった。……両目には、臀部の激痛を物語るように、涙で溢れていたが。
「バットを」
 言われるまま、長見はバットを差し出す。それを力強く握り締めると、エレナは、
「打ちます」
 との一言を残し、両目を無造作に拭ってから、ベンチの中へ戻っていった。



 その頃、打席では亮が悪戦苦闘をしていた。
“日の出ボール”と“日没ボール”。全く相反する球筋を通る二つの球種に、対応していかなくてはならない。それに、ストレートを織り交ぜられるのだから、たまったものではない。
 それでも彼は粘っていた。追い込まれてからも、なんとかファウルで粘り、カウントを2ストライク3ボールまで持ってきていた。
「?」
 間を取るためにタイムを要求し、ひとつ息をついたところ、ウェイティングサークルにエレナの姿が見えた。彼女はバットをきり、と握り、何度も素振りを繰り返している。


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