ふたり(最終回)【それから―U】-1
お風呂から上がってあたしは、ユキの顔が早く見たくてすぐにリビングに向かった。
まだみんな寝てるかもしれないから、はやる気持ちを抑えて静かにドアを開ける。
でもそこにユキはいなかった。
そして、あかねも……
一瞬、なんで……?
と動揺したけど、すぐにユキがあかねに話をしてくれてるんだとわかった。
……そっか。
あたしは浮かれてばっかりなのに、ユキはちゃんと次のことを……。
あたし、バカだな。
一瞬でもユキのこと疑っちゃうなんて。
あたしはコツンっと頭を叩いてリビングを出た。
階段を下りると、洗面所のドアの前でエリカがしゃがみこんでいた。
俺は慌てて駆け寄った。
エリカの目元に光るものが見えたから。
「エリカ!?」
「……ユキ」
こっちを向いたエリカの目から涙がこぼれる。
「……何で泣いてんの?」
「ん……、思い出し泣きしてた。」
エリカはちょっと笑って人差し指で涙を拭きながら立ち上がった。
「ユキ……今、あかねに……?」
「……うん」
「そっか……。」
エリカの目からまた涙がこぼれた。
今度はきっと、あかねのことを想って……。
「ねぇ、ユキ。」
「ん?」
「さっきお風呂場で言ったの、ホントにホント?」
「あ、当たり前だろ」
「じゃあ、あたしはユキの彼女なんだよね?」
「ん、うん、そういうことに……」
──ポフッ
「え、エリカ?」
エリカが突然、俺の胸に飛び込んできた。
更に腕を体に回して、ぎゅうっと抱き締めてくる。