今が楽しけりゃ、その2
〜今はこれでいいんです〜-1
深夜0時。
俺達はチャリを漕いでいた。
孝(俺)「寒み〜な…。」
直人「全くだ。」
「この寒さの中ゲーセンまでチャリはだるい…。」
「家でクソゲーやってるよりはマシだ。」
「お前はつまらんかもしれないが、俺は楽しい。」
「そりゃ勝ってりゃ楽しいだろうな。」
「捻くれやがって…やれやれだぜ。」
「あんなもんはお呼びじゃないぜ。消えな!クソゲー!」
「おっ…てか警察がいるぞ。」
「お呼びじゃないぜ。消えな!ポリ公!」
「ガンつけてやれ。呼び止めやがったら、やっちまうぞ的なオーラで。」
「現行犯だな。俺はまだこの世でやりたい事がたくさんある。」
「何も死ぬんじゃあるまいし…。つか警察行っちまったな。ビビりやがって。」「お前にビビる警察はいない。……んっ?」
「どした?」
「前みろ…。あのジジイ…。」
「あのふらついてるジジイか?」
「気をつけろ!酔拳使いかもしれん…。」
「……」
「……」
「…ク…クク…。」
「…ブシッ!」
「ぶはは!なんだあのジジイ!キョドってやがった!」
「お呼びじゃないぜ!消えなジジイ!」
「声がでかい!聞こえたらどうする。」
「お前が酔拳の餌食になるだけだ。ドンマイってやつだ。」
「貴様……。」
「……」
「つか寒いな…。」
「全くだ。」
「……」
「……」
やっと着いた。直人の家からは一番近いゲーセン。
最近ほぼ毎日通っているので店員からは顔をチェックされている事だろう。
…迷惑な客として。
最近のお目当てはネット麻雀なのだが…。
これぐらいの時間帯は満員な事が多い。
案の定満員。
順番待ちまでいるほどだ。
「ざけんなよ。暇人どもが。さっさとどきやがれ。」
暇人が暇人を罵る。
しょうがなく直人は格ゲーを始めた。
俺は席取りの為順番待ち。
煙草が一本…
煙草が二本…
煙草が…
キレそうだ…。
短時間に吸い過ぎて喉が痛い。
俺が喉頭ガンになる前にさっさと空けてくれ。
直人がニコニコしながら戻ってくる。
「どうした?金でも拾ったか?」
「ラスボスにぶち殺されてきた。」
「……あっそ。」
なぜ笑顔なんだ。
一人帰って席が空いた。
取りあえず俺が先にやる。
カードを差し込み百円入れてゲームスタート。
直人も暇らしく、俺の後ろから画面を覗き込む。
こいつに見られているとどうもやりにくくて仕方がない。